歴史問題に関する米紙の論説や映画の上映
慎重なハンドリングが必要となる2015年

 総選挙は自公の圧勝で終わり、安倍政権は新たな信任を得て、日本が直面する幾多の課題に取り組むこととなる。強い政権として基盤を確立した安倍政権が国益にかなう政策を確固とした決意で推進していくことを、国民は強く期待しているのだろう。

 成長政策や財政再建という国内経済課題は待ったなしであり、ハンドリングを一歩間違えば日本の信認が揺らぐことになりかねない。

 外交安保面でも首脳会談が2年半ぶりに実現し、一歩を踏み出した中国との関係や、いまだ動きがない韓国との関係、安全保障関連の法制備や普天間移設問題など、難しい課題が山積している。

 ここで、好むと好まざるとにかかわらず細心の注意を払って取り組まなければならない課題として、歴史問題がある。来年2015年は、第二次世界大戦終了後70周年にあたり、歴史問題はますます繊細となっている。安倍政権発足後の一部要人の言動に対し、中国や韓国の批判が収まることはない。

 このところ、米国での批判も強くなっている。米国内の主要紙には、「日本は歴史を書き換えようとしている」という報道も目立つ。ごく最近は、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、ロサンゼルス・タイムズという主要紙がこぞって社説や論説で慰安婦問題を取り上げ、日本の政権は歴史の否定に走っていると論じている。

 そして12月25日には、女優アンジェリーナ・ジョリーが監督をした映画、『アンブロークン』(unbroken)が米国で封切りされる。これは元オリンピック陸上選手で、太平洋戦争時に日本の戦争捕虜になった人物の過酷な捕虜体験を描く映画である。筆者が先日訪れたニューヨークでは、街頭で宣伝のポスターが掲げられ、大きな話題を集めていた。日本のある団体は、「この映画はフェアでない」として、日本での上映を禁ずる署名を始めていると伝えられている。