ビットコインはさらに進化・拡大し
国際通貨の概念を変えてしまう

 次に注目する技術は「通貨」、とりわけ、仮想通貨ビットコインです。

 ビットコインと聞いてまず思い浮かべるのは、世界一の規模を誇っていたビットコイン取引所、マウントゴックスの破綻でしょう。同社が日本にあったこともあり、破綻の影響でビットコイン自体が使われなくなっていると思い込んでいる人も多いかもしれません。

 しかし、そうしたことはまったく起きておらず、現在では世界で時価総額6000億円(12月時点)くらいの規模でビットコインが使われています。特に、経済破綻したアルゼンチンやキプロスのような国では、第1通貨に迫る勢いです。米国ですら大手Eコマースサイトで使われるようになり、コンビニエンスストアなどで使える国も出てきているほどです。

 一般的に通貨とは、その国の経済を統制していくために、中央銀行が発行量をコントロールするものです。ですが、ビットコインはこうした仕組みを変えようとしています。なぜなら、P2P(ピアトゥピア。対等の者同士が取引をする)の仕組みを使っているため、中央銀行のような存在が必要ないからです。

 その根本のテクノロジーがブロックチェーン技術にあります。これは、公開鍵暗号方式を使って取引記録の不正を検証しながら、世界中のノードといわれるサーバにP2Pですべてのビットコインの取引記録を拡散していくものです。

 これにより、政府の規制が及びにくくなるという特徴があります。すべてのノード(ネットワークなど複数の要素が結びついてできた構造体における個々の要素のこと)を根絶やしにするのは困難ですし、中心的な管理者を取り締まることも無理だからです。そもそもそんな管理者は存在しません。

 そのため、中国やロシアはビットコインと自国通貨の取引(両替)を禁止しています。しかし、いくら国家が禁止をしても、金融機関を通さずに相対で取引できるので、実質的に規制が及んでいない状況なのです。一説には、自国通貨を信用しない中国人がビットコインの過半数を持っているという話すらあるほどです。

 注目なのはブロックチェーン技術を使った「ビットコイン2.0」という新たな動きです。このテクノロジーを用いれば、通貨だけでなく、議決権付き証券なども発行が可能になります。資金調達のため、ビットコイン建てのIPO(新規株式公開)も相次いでいます。

 さらにこの技術は特別な認証機関を必要とせず、不正も働きにくいという利点を活かして、株式取引や不動産などの契約に活用することも可能になります。これまで公的機関などが担っていた機能を奪ってしまうことになり、社会の仕組みを根本から変える可能性があります。

 このように、国家の根幹を成す軍事や通貨の分野で、大きなイノベーションが起きています。その影響力は、民主主義すらも変革してしまう可能性を秘めています。