「不動の1位の明治神宮については、原宿という交通至便な場所柄、正月の買い物やレジャーのついでに参拝できることもあって、景気の影響をほぼ受けずコンスタントに集客しています。景気との関連性を分析するには、やや不便な立地にあって、強い目的意識を持った参拝客が集まると考えられる成田山新勝寺のデータの方が適しているでしょう」

 と語るのは、三井住友アセットマネジメントの理事チーフエコノミストを勤める宅森昭吉氏だ。その言葉通り、成田山新勝寺のデータを見てみよう。

やっぱり苦しいときは神様におすがり

 グラフを見れば一目瞭然だが、成田山新勝寺の人出数は90年代がもっとも多く、00年代に移り変わるにつれて顕著に減っている。ピーク時の96年には310万人を超えているが、そこから徐々に減り続け、もっとも少ない04年にはわずか260万人しか訪れていない。

「初詣」のにぎわいと景気の相関関係 <br />不景気で参拝客は増えるの? 減るの?

「遡れば、バブル崩壊後の91年から96年までの5年間、成田山新勝寺の人出は数万人単位で概ね増え続けています。一概に景気だけに連動しているとは言えませんが、バブルが弾けて好景気が一転し、逆風が吹き始めた時期に参拝客は増えている。つまり『苦しい時の神頼み』をしたい人が多かったと考えられます。その後も2000年までは300万人前後の集客が続きますが、これはちょうど“失われた10年”に当たります。不景気に苦しみながら、すがるような思いで必死で参拝する人が多かったのでしょう」(宅森氏)

 その後、日経平均株価は03年4月に底打ちし、上昇傾向に入る。02年の1月から07年7月まで73ヵ月間も続く、いわゆる「イザナミ景気」の期間だ。01年から減少し始めた成田山新勝寺の参拝客は、07年まで300万人を大きく下回り続ける。

「02年を谷のピークとして景気は回復過程に入りますが、それと相関するように初詣客は低空飛行を続けます。ちょっと安心感が出たというか、『なんとかなったかな』というムードが広まって、わざわざ成田山まで行かなくてもいいや、近場で済まそうと思う人が増えたのかもしれません。そして07年の姉歯事件、08年のリーマンショックが景気を直撃した時期を境に、再び参拝客は増えていくんです」(同)

 バブル崩壊後から現在に至るまで、不景気なほど初詣客は増え、景気が回復し始めると減る傾向にある。必ずしもはっきりした相関ではないが、『苦しい時の神頼み』という心理が実際に働いていることが見えるデータ推移だ。