理化学研究所は相変わらず思考停止状態に陥っている──。そう思わざるを得ない記者会見だった。
Photo by Hiroyuki Oya
新しい万能細胞として注目を集めたSTAP細胞について、理研は2014年12月19日、検証実験で「再現できなかった」と発表。15年3月までを予定していた実験を打ち切った。
検証実験で最も重要だったのは、細胞が万能性を持つかを証明する実験で、マウスの初期胚(数日たった受精卵)に実際に細胞を注入し、全身のあらゆる組織に分化するかどうかを調べた。
実験では、小保方晴子・元ユニットリーダーが作製した1615個の細胞塊をマウスの初期胚に移植。だが、分化したものはゼロだった。小保方氏とは別に、理研の丹羽仁史チームリーダーのグループが作製した244個の細胞塊でもゼロと不発に終わった。
検証実験の当初の予算は1300万円。だが、小保方氏の参加が急きょ決まったことで生じた研究室の改装費用550万円などがかさみ、延べ1500万円掛かっている。
実験データの一部に捏造があったとして論文そのものも7月に撤回されており、これ以上、時間と金を費やしても無駄だと検証チームが判断するのも当然の結果だ。