今では、クルーグマン教授も日銀の量的・質的金融緩和策に賛同しています。昨年10月31日に日銀が実施した追加緩和についても、ニューヨーク・タイムズ紙のコラムで「強く支持する」と評価しています。

 もちろん、日銀の量的金融緩和策を疑問視する声もありますが、数年後に日本と同じような状況に陥ることが危惧される国も多いため、日銀の政策が本当にお手本になるのかどうかということに関心を持っているのでしょう。

超コンサバティブを卒業しないと
デフレからの脱却は難しい

 私は、「アベノミクス(3本の矢)をどう評価しているか」という質問をよく受けますが、そこでよく引用するのが次のようなジョークです。

「A~Eランクで評価付けするなら、1本目の矢(大胆な金融政策)は『A』、2本目の矢(機動的な財政政策)は『B』、3本目の矢(民間投資を喚起する成長戦略)は『E』。この3つを並べると、なんと『ABE(アベ)』になるんだよね」と。

 ちょっとおもしろくありませんか。これは単なるこじつけではなく、自分では意外と当たっていると思っているんですが…。

 1本目の矢については、量的・質的金融緩和によって株価が上がり、円高が是正されるなど効果があったので評価できます。しかし、成長戦略については現時点では評価しづらく、実際に成果が出るまでには時間がかかりそうです。

 一番の問題点は、多くの企業が内部留保をため込んで、投資もしない、賃金も上げない結果、トリクルダウン(経済活動が活発化することで低所得者層にもお金が行き渡り、富が再配分されるという理論)が起きていないことです。

 政府ができることには限界があります。私は、日本政府は政府なりにできることはしていると思います。それでもトリクルダウンが起きていないのは、民間に責任があるのではないでしょうか。

 今必要なのは、企業も国民も自信を持つこと。バブル崩壊以降、日本人は超コンサバティブになってしまった。これを直さないと、デフレから脱却するのは難しいのではないかと思います。

 米国では、昨年12月24日に発表された第3四半期(2014年7月~9月)の実質GDPが前期比プラス5.0%と、11年ぶりの高水準となりました。その24日夜にロイターのインタビューを受けたのですが、驚いたのは、ちょうどクリスマスタイムということもあり、スタッフみんなが「今年はバカンスやショッピングでお金を使うぞ!」と盛り上がっていたことです。

 米国の借金レベルは変わっていないのに、景気が良くなってくるとマインドがここまで変わるんですね。ここが日本と米国との大きな違いです。