あくまで「具体的に」と迫った阿部彩氏

 阿部彩氏(国立社会保障・人口問題研究所)は、今回の基準部会において、力強い調子で数多くの発言をした。

 まず、生活保護利用者がそもそも住宅の獲得に関しても弱い立場にあることに関して、

「生活保護制度の信頼性を高めていくために、貧困ビジネスや高額な家賃の設定、無料低額宿泊所の家賃設定も含め、生活保護受給者への指導指示、転居指導が必要。福祉事務所に住宅に精通した人の設置も必要だと思う」

 と切り出した上で、「具体的に」と強調しつつ、

「生活保護受給者で高額な家賃の民間賃貸住宅、あるいは無料低額宿泊所に住んでいる人は、厳しい状況にあります。指導指示だけで転居できません。そういう人たちを守るために、何らかの方策を考えてほしいです」

「生活保護制度の持っている極めて重要な役割、生活保護基準、生活保護制度の基準だけではなく国民を守る基準。報告書には、それを書いてほしいです」

 と述べ、

「今回、住宅扶助基準を、はじめて検証しました。方式は、生活保護基準で考えられてきた水準均衡方式と同じなのか、違うのか。どういう考え方で扶助の考え方と検証をしたのかを書いてほしいです」

 と、方式についても言及した。「生活保護基準」とそれを定める方式は、生活保護制度とともに検討が始まり、当初数年間の「基準なし」時代を経て、マーケットバスケット方式・エンゲル方式・格差縮小方式・水準均衡方式と推移して現在に至っているが、2013年の生活扶助見直し以後、方式やその決定方式までもが「グダグダ」にされつつあるのが実態だ。背後にはどのようなポリシーも思想も見いだせない。もしかすると「下げられれば何でもいい」ということなのかもしれない。

 さらに阿部氏は高齢者・障害者・傷病者の「住」について、

「生活保護受給者の半数が高齢者です。これから高齢化がさらに進みます。低年金、無年金高齢者の住宅の保障。これからどうやって継続的に行うか。障害者、傷病者も。生活の単位を考えた住環境を考えていく必要があります。生活保護制度の中でやれる範囲は、最後のネット。その前に、障害者、傷病者の住宅保障を考えたうえで、生活保護でできることを考えては」

 と、生活保護とは別立てでの住宅保障の可能性を提案し、

「本人の意志に反する転居を強要しないという文言を。本人がイヤだと思っているところに強要して転居させること、国家としてすべきでないです。基本的な考え方として入れてほしい」

「継続性。高齢者、障害者、有子世帯には配慮というけれども、その人達の多くは、調査で分かったとおり、生活保護受給前からの住まい、我が家に住んでいます。その人達に転居を強いることは、新しいハードルです。もともと、特に家賃の高いところに住んでいるわけではない。生活保護の範囲の中で、さらに動くことを強いるべきではありません」

「高齢者では、転居が認知症などの病気を進めることが分かっています。生活保護の中の自立支援、地域包括。NPOなどが関連する中での自立支援を転居によって切ることは、本人が『引き続き』と望むならば、すべきではありません。それも入れてほしいです」

「子どものある世帯について、具体的に書いてほしいです。子どもの貧困問題でも、勉強するためにも、大きな子どもの個室は重要です。『検討を行うことが必要である』ではなく、もっと強い書き方にしてください」

「基本的な考え方の中に、『相対的に決められるものではない』と書いてほしいです。最低の居住の基準です。一般世帯との比較で決めるものではありません」

 と主張した。