為替の影響:
原油下落の1次効果を相殺するには
1ドル160円の円安が必要だが……

 仮に50%の原油価格下落がもたらすCPI押し下げ圧力を、円安で打ち消そうとすれば、どこまで円は安くなる必要があるだろうか。

 マクロモデルに基づく筆者の計算では、対米ドルで160円まで円安が進む必要がある。しかし、これは現実的ではない。以下に見るように、ここまで円安になる前に円買い介入(円売り介入ではない!)が視野に入るからだ。

為替介入:
過去は「1ドル127円前後」が
円買い介入の引き金

 日本では、為替介入(厳密には外国為替平衡操作)は財務省が対象通貨、金額、時期を決定し、日銀が代理人として介入の実務を行う。

 財務省は1991年4月以降について、為替介入のデータを公表している。そこで同月以降の全ての介入と介入時点のドル円レートを比べてみた(図表5参照)。すると、ドル円が127円近辺より円安のとき、円買い介入が行われていた構図が浮かび上がる。

 ドル円がすでに120円前後にあることを踏まえると、さらに円安が進んだ場合、円買い介入を全くの想定外と位置づけることには慎重でいたい。

注:図表中の氏名は歴代の財務官を指す。
出所:財務省『外国為替平衡操作の実施状況』よりバークレイズ証券作成
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実効為替(EER:Effective Exchange Rate):
実質実効為替(REER)は1973年2月の
変動相場制移行後の最安値に

 むろん、円買い介入が行われた1990年代と今日とでは、経済環境は大きく異なる。生産拠点や株主構成などを軸に日本企業のグローバル化も進んだ。また、ユーロという通貨が決済通貨として機能し始めたのも1999年1月以降だ。こうした中、ドル円だけで為替介入の水準を論じることに限界があるのも事実であろう。