最近、生活困窮が原因で、引きこもる人たちが急増している。
その背景にあるのが、高齢化の進む中、年金生活を維持できなくなったり、仕事に就きたくても働くことができなかったりする社会環境の悪化や、一度、社会から離脱すると個人に問題があるかのように見下されたまま、敗者復活戦のできない仕組みだ。
OECD(経済協力開発機構)の調査によれば、日本人の6人に1人が「貧困層」といわれ、経済格差も広がっている。
こうして生きる意義や意味を失い、自殺や餓死にもつながりかねない命を救うための法的根拠となる制度が、今年4月1日から施行される「生活困窮者自立支援法」だ。
この制度によって、全国の福祉事務所のある自治体には、生活困窮者自立支援法に基づく窓口の設置が義務付けられる。
厚労省の社会援護局によると、対象者は、経済的に困窮しているという理由だけでなく、「引きこもり」状態の人の含む社会的孤立者など、様々な困難を抱える人たちもカバーするという。
そんな「引きこもり」の人たちへの対応も含め、ネットワークをつくってワンストップ窓口による取り組みで、全国から注目されているのが、高知市の「生活困窮者自立支援法」に基づくモデル事業だ。
開設後から1年、新規相談者は444人
60代が最多、女性が過半数以上に
他に先駆けて開設されてから1年余りの間に、新規相談者は444人。収入や生活費が3割、病気や健康に関する内容が1割を占めた。
同市は、人口33万7500人余り。高齢化率は、昨年10月現在、26%を超え、4人に1人以上を占める。
同市でモデル事業が始まったのは、2013年11月のこと。
市の健康福祉部長を代表に、社会福祉協議会(以下社協)の事務局長を副代表に置いて、ハローワークや若者サポートステーションで構成する「運営協議会」をつくった。
実際に担当するのは、高知市生活支援相談センターだ。