生活保護は切り捨てる? 2015年度予算案開会前、熱心に文書を読む部会長代理・岩田正美氏 Photo by Y.M.

 また1月9日の取りまとめの際、「生活保護世帯の光熱費は高すぎるということを基準部会が認めた」と取れなくもない文言を報告書に含めるにあたって、委員の岩田正美氏(日本女子大教授・社会福祉学)は、前回、2014年12月26日に開催された第21回基準部会において、

「実質的に冬季に暖房が使えなくならないような傍証が必要。(略)あとでとんでもないことが起こったら、私たちは責任を負うことができません。(略)現実的な消費量を取り上げていくことが大事。差額、そんなにないにしても。確証がほしいです」

 という懸念を述べた。これらの検討および発言は、基準部会報告書に、

「今回の検証結果を踏まえて冬季加算を見直すに当たっては、(略)留意事項を十分に踏まえつつ、生活保護受給世帯の健康に悪影響を及ぼすことのないようにする必要がある」(31ページ)

 として含まれている。留意事項には、冬季加算が万一引き下げられた場合に起こりうる問題が数多く列挙されている。

 筆者には、厚労省が「十分に踏まえた」結果として、冬季加算の引き下げを判断したとは、到底思えない。

劣悪さが明らかになった「生活保護の住」
それでも住宅扶助まで引き下げへ

 では、冒頭で述べたとおり、190億円の削減、3.5%減となる住宅扶助は、誰にどの程度適用されるのであろうか? 

毎日新聞の報道によれば、引き下げは主に都市部で行われる見通しである。

生活保護:住宅扶助190億円減額 17年度、厚労省
毎日新聞 2015年01月11日 21時53分(最終更新 01月12日 00時59分)
(略)
(引用注:厚労省は)08年の総務省の住宅・土地統計調査などを検証し、支給額以下でも借りられる物件が地域によって市場の十数%あるとして都市部を中心に上限額引き下げが可能と判断した。
 ただし、緩和措置として、家賃の契約更新まで新たな上限の適用は猶予する。家賃が上昇している東日本大震災の被災地域などでは相場との比較で上限額を引き上げることもあるとした。(略)

 もし、一部地域では引き上げもありうることを考慮し、東京都の単身者に対する現在の上限額5万3700円が4%引き下げられるとすれば、5万1500円となる。現在でも、上限額の範囲で最低居住面積水準を満たす賃貸住宅を探すことは困難だが、さらに困難になるであろう。単身者を対象とした公営住宅は非常に少ないため、現状では「公営住宅に入居する」も解決策となりえない。

 2014年8月、基準部会は全国の福祉事務所に勤務するケースワーカーの協力のもと、「生活保護の住」の実態を調査した。生活保護全世帯の約10%をカバーする大規模な調査であった。この調査により、「生活保護の住」の貧困は極めて明確になった。このことは、基準部会報告書にも、

「生活保護受給世帯の住宅水準は、一般世帯(生活保護受給世帯を含む)に比べると、低くなっている」(11ページ)

「(筆者注:生活保護世帯の)最低居住面積水準の達成率は、単身世帯で 46%、2人以上世帯で 67%となっており、一般世帯(生活保護受給世帯を含む)の最低居住面積水準が、単身世帯で 76%、2人以上世帯で 86%となっているのと比較すると、大きく下回っている」(11ページ)

 と記述され、さらに

「以上のことから、生活保護受給世帯において、より適切な住環境を確保するための方策を検討することが必要である」

 とある。公営住宅の少ない現状でただちに実施できることは、住宅扶助の引き上げであろう。しかし、厚労省は「引き下げ」という判断を下した。