趣旨を汲み取って補完して書く

 じつはここに大きな秘密がある。「発言をできるだけそのまま書き留める」際に、私は相手の言おうとしていることを推察してわかりやすく書いてあげる。意見をスムーズに言える人はどちらかというと少数で、大半の人は繰り返しになったり、言葉選びが適切でなかったり、意図に反してちょっとずれたことを言ってしまう。

 その場合、聞きながら何を言いたいのか理解し、わかりやすく書いてあげることがしばしばある。発言者の内容を曲げるのではなく、明らかに発言したい意図を汲み取って、それを若干編集してわかりやすく書いてあげる感じだ。

 これをやり続けると、発言者は言いたいこと(実際には70%くらいしか言えていないこと)がうまくホワイトボードに書かれるのでかなり満足してくれる。

 発言者によっては、頭に浮かんだことを何とか伝えようとして言葉が十分出てこず苦労することがある。そういうときに私は「こういうことでしょうか」と確認し、ホワイトボードに書いてあげることで意見をわかりやすく皆に伝え、議論をリードしていくことが頻繁にある。要は、ホワイトボードにただ発言内容を書く、というだけではなく、かなりの程度まで整理し補完して書いたうえで、発言内容の確認をする、ということだ。

書いた内容を指さして確認する

 発言を書き留めたら、その内容を指さして「こういうことですね。これで大丈夫ですか」と本人に確認する。慣れてくるとほとんど書き損じることがないし、趣旨を汲み取って補完もしているので、発言者は「まさにこれが言いたかった」とばかりにうなずいてくれる。発言者だけではなく、参加者全体の理解が深まり、議論への集中も深まっていく。

課題とアクションを整理する

 会議は参加者の発言に任せておくと、どんどん拡散する。自然に課題が整理され、アクションの合意にいたるということはまずない。あったとしても、何時間もたち皆が疲れてきて何とか終わらせるためにまとめようとして初めて合意する、という感じだ。

 そうではなく、会議のリーダーが意識してまず課題、問題認識についての発言を促し、それが出尽くしたところで、「じゃあ、課題はこれくらいにしてアクションについて議論しましょう」と進行させる必要がある。

論点のすれ違いは、その場で一致点、相違点を図示する

 発言者の間で意見がぶつかることがある。その場合は、両者の一致点をまず確認する。そのうえで相違点を確認する。多くの場合、言い争いをしている二人の間でじつは一致点が多く、ごく一部の相違点について過剰に言い合いをする、という現象が見られる。

 これはその場でホワイトボードの右下などに表を書いて整理する。横に二人の名前を並べ、縦にはどういう観点からの議論か、項目を並べる。最初は一致点、その後相違点を並べるようにすると、一目瞭然だ。

会議の半減とホワイトボードの活用で<br />生産性は数倍になる