きょう午後(4月9日15時)、党首討論が行われた。今の通常国会では初めて、福田首相と小沢代表になってからは、約100日ぶり2度目のことである。

 最初に結論を言えば、今回のそれは「党首討論」というよりも、むしろ「党首演説」、あるいは、より遠慮のない表現が許されるのならば、「党首空論」とでもいうべきお粗末なものであった。

 ガソリン税を含む道路財源、年金問題、チベット暴動に触れられた内容そのものについては特段の異論はない。道路財源について言えば、双方が、閣議決定、与野党協議の是非にまで踏み込んだ発言をしており、それなりに見るべき部分ではあったと思う。当コラムでは再三そのあたりを主張し、問題点も重複するため、今回はあえて触れないでおこう。

 むしろ印象に残ったのは、福田首相、小沢代表両者の、眼を覆うような未熟な論争技術である。その稚拙で「可哀想なくらい」に惨めな「討論」を振り返ってみよう。

小沢氏の無駄に長い質問と
首相のかみ合わない「逆質問」

 午後3時ちょうど、小沢代表の質問によって党首討論は始まった。すでに小沢代表のこの最初の質問の最中に、今回の討論が失敗に終わるだろうということが予見された。いったい、NHKの国会中継を観ていた視聴者の何人がこの瞬間にチャンネルを変えたことだろう。

 約10分30秒――。これが小沢代表の第一の質問に要した時間である。

 しかも、その大半は、自らの意見を開陳するのみで、国会で窮地に立たされている福田首相を責めようという意欲に欠けている。厳しい質問はなく、顔には満面の笑みがこぼれることさえある。あくまでも、要望やご意見伺いといった感じで、福田首相に優しく投げかけるだけであった。

 案の定、その無駄に長い質問の末、福田首相の採った行動は、輪をかけて酷いものだった。

 「いま、ご質問のありました件でございますけれども、これには十分お答えしないといけないと思いますが、その前にですね、ひとつお尋ねしておきたいことがあります」

 こう語った福田首相は、同日、民主党が不同意にした日銀の副総裁人事について、逆に詰め寄ったのである。