緩和ケアのために訪問診療を行っていた在宅医は、細胞免疫療法は保険診療ではなく、保険診療医である自分は責任を持てないと説明した上で「もしものときは、点滴バッグを郵送してもらって先生が入れてください」という懇願にうなずいた。

 採血から2週間後、活性化免疫細胞を体内に戻す点滴治療が始まった。車いすと介護タクシーで往復する通院の負担は予想以上に重く、点滴後は口も利けないありさまだった。 

必死に車いすにしがみつく夫
付き添う妻は何も言えなかった

 付き添う妻には、とても効いているようには見えなかったが、必死に車いすへしがみつく夫の姿に何も言えなかった。結局、男性は3回目の点滴を受けた2日後に病状が急変。治療を終了することなく亡くなった。

 細胞免疫療法は、すでに強い免疫抑制状態にある末期がん患者にはほとんど意味を成さない。多少なりと効果が期待できるのは同じ末期でも全身状態が良く、しかも分子標的薬などの抗がん剤と併用してのことだ。男性の場合は「毒にも薬にもならなかったと思う」(在宅医)。家族にはしかし、えぐられるような痛みを伴う後悔と借金だけが残された。

 補完代替医療や保険診療外の自由診療は個人の責任で行うしかない。冒頭の表は、補完代替医療を利用する前に確認すべきことのリストだ。補完代替医療を利用する前に、販売員、アドバイザー、施術者に尋ねてみよう。ぜひ、自由診療を選ぶ際にも活用してほしい。