前述したように、医療費控除は支払った医療費を所得から差し引くことで課税所得が少なくなり、結果的に納税額が少なくなる。つまり、控除額に税率をかけた分だけ所得税が減るので、税率の高い人ほど還付金が多くなるのだ。
夫婦共働きで、夫の税率が20%、妻の税率が10%の次のケースで比較してみよう。
家族構成:夫(45歳・会社員)、妻(42歳・会社員)、子ども1人(12歳)
夫婦の年収:夫850万円(税率20%)、妻450万円(税率10%)
家族みんなの医療費:60万円
民間医療保険の給付金:15万円
・夫が申告した場合
(医療費の総額60万円-10万円-民間医療保険の給付金15万円)×所得税率20%=還付金の目安7万円
・妻が申告した場合
(医療費の総額60万円-10万円-民間医療保険の給付金15万円)×所得税率10%=還付金の目安3万5000円
※復興増税2.1%分は考慮していない。
このケースでは、夫が申告するほうが還付金は多くなるので、医療費控除は所得が多く税率の高い人が申告するのがお得だ。
ただし、注意しなければならないのは、総所得金額(会社員は、収入から給与所得控除を差し引いた金額)が200万円未満の場合だ。
通常、医療費から一律に10万円差し引くところを、総所得金額200万円未満の人は、その5%だけ差し引けばよいことになっている。この場合は、税率は同じでも、所得の低い人が申告したほうが還付金が多くなる。
共働きの場合は、事前に計算してみて、還付金が多くなる人が申告するようにしたいもの。