ところが、ECB(欧州中央銀行)による量的緩和政策の期待が高まった15年1月以降、ユーロを調達して他通貨に投資する「ユーロキャリー」が活発になるとの思惑からユーロ圏の投資家の外貨調達コストが上昇し、円の調達コストも上がった。調達コスト上昇で海外投資家が日本の5年債を買わなくなれば、国内投資家は0.1%を下回る利回りの債券への投資にインセンティブがないことから利回りは一気に上昇しやすくなる。

 10年債や20年債の利回りは、5年債利回りがマイナス化していたことをよりどころに一層の低下を見せていた。今度は逆に5年債利回りのプラス化、そしてさらなる上昇が長期債の利回りを上昇させた格好であるといえよう。

 日銀による大量の国債買い入れや海外長期金利の低位安定傾向を考えれば、金利上昇もそろそろ止まると予想される。0.1%まで戻ってきた5年債に国内投資家が再度投資をするのか、5年債の利回りが安定するのかに最大の注目が集まることになろう。

 5年債利回りの上昇が止まれば、長期金利の上昇も止まることになりそうだ。ただ、再度5年債利回りが0.1%を大きく下回る水準まで低下すれば長期金利も同様に低下する可能性が高い。その場合、5年債利回りも長期金利も、海外投資家の動向に影響する通貨スワップの水準に左右されやすい点に注意が必要である。

(SMBC日興証券シニア金利ストラテジスト 野地 慎)