国内最大のカメラ関連展示会「CP+」が、2月12~15日にパシフィコ横浜で開催された。カメラ各社は毎年、このイベントに合わせて新製品を発表し、今後の戦略を打ち出す。
デジタルカメラ市場の縮小が止まらない中、最大手であるキヤノンは攻勢に出ている。これまでで最大規模となる13機種を一挙に発表。ローエンドのコンパクトデジカメにミラーレス、さらにデジタル一眼レフもエントリー機から5000万画素の最高機種までそろえた。「フルラインアップの方針は崩さない。プラットホームを下位機種から上位機種まで共通にしており、利益も出ている」と真栄田雅也・キヤノン専務は言う。
富士フイルムやカシオ計算機など下位シェアのコンパクトデジカメメーカーが、一部事業撤退などに踏み切る例が続く中、キヤノンと共にニコンも従来の“全方位戦略”を変えない。「フルラインアップでそろえることで、アジアなど成長率の高い市場で需要の強い製品も漏らさず供給することができる」(御給伸好・ニコン常務)。
“ネット接続”が決め手に
一方、家電メーカー系の牙城であるミラーレス陣営にも異変が起きている。
例えばソニーは、レンズ本数を拡充。合計58本のレンズをそろえ、さらに4本を新発売予定だ。というのも「フルサイズセンサーを搭載したミラーレスに人気が集まっており、ボディにサードパーティ製のマウント互換アダプターを付けて、他社レンズ所有者が使用するケースが増えている」(ソニー)というのだ。一眼レフユーザーはどうしても保有レンズ資産で特定のカメラブランドに“囲い込まれる”という特性があるものの、そうした垣根を越え、さらにソニーのレンズも試すという例も出てきているという。