オーナー父子と銀行OB社長が対立
同族経営企業で働く社員たちの「悶え」
今回は、社員数80人ほどの園芸関連会社で働く課長・A氏(44)に取材を試みた。この会社は創業40年ほどになり、業績はおおむね好調だ。5年前には、当時60代前半の創業経営者(現在の会長でありオーナー)が、大手銀行出身の50代前半の男性をハンティングし、後継者とした。
創業者には実の息子(当時経理部員)がいる。会長は本音としては息子に後を継がせたいようだったが、30代前半でありまだ若い。そこで「ワンポイント」として銀行OBの男性を雇って中継ぎの社長としたが、その社長が勘違いをし、暴走を始めた。そこから、多くの社員を巻き込んだ「悲劇」が始まる。
5年後の今年3月、ついに創業者である会長は銀行OBの社長を解任し、息子を新たな社長に据えた。元社長はその前後、社員や取引先を前にして「オーナーに復讐してやる!」と息巻いていた。だが今になって、社員らはその惨めな姿を「逆・半沢直樹」とバカにしている。
今回は、その「逆・半沢直樹」に5年間、部下として仕えたA氏に話を聞くことで、社員が同族経営の会社で生き抜くことの理不尽さや苦しみ、悶えを浮き彫りにしたい。
A氏とのやりとりについては、よりニュアンスを正確に伝えるため、インタビュー形式とした。取材の内容は、実際に話し合われた内容の9割方を載せた。残りの1割は、会社などが特定できる可能性があることから省略した。
筆者 オーナー(会長)と今年から社長になった男性は、実の父と息子の関係になるのですね。この同族経営の会社に、5年前に大手銀行から来て社長に就任した男性(当時50代前半)がいました。血縁関係は一切ありません。