――そのように、スウェーデンと結びつきが強いボルボが、米国企業に買収されるとき、関係者はどう感じていたのですか。

 われわれが持っているブランドは(乗用車の)ボルボ一つだけです。一人ひとりがブランドを生み出していると感じられる規模の会社です。そのボルボが、多数のブランドを有するフォードの一部になりました。

 生産規模もボルボ30万台に対してフォードが500万~600万台と違いましたから、両者の間で歩み寄りが必要な場面はありました。

 もちろん、フォード傘下の時代があるからこそ、今のボルボがあるということは言うまでもありません。

 他方、吉利のやり方は、フォードとは違います。基本的に、われわれの自治を認めているということです。ホーカン・サムエルソン最高経営責任者(CEO)は吉利に、何を決めたかは報告しますが、許可を求めることはありません。

 私は中国企業ではなく、スウェーデンの企業で働いているという意識です。例えば、中国からきた同僚を職場でスパイと呼んでいました。本人もその呼び名を気に入っていたけれど、それだけスウェーデン本社の自治が、認められているということです。

 このことが、スピーディーな意思決定と吉利との情報共有を可能にしています。(春に発売する新型)XC90は100%、われわれ独自の技術で造っています。これは2010年に吉利傘下になってからすぐに、ボルボが独自エンジンの開発などを決めたからこそ実現しました。

政府の“見放し”から5年 <br />ボルボが復活を遂げたワケ工場では、春に発売する新型XC90の製造が本格化している Photo:Volvo Cars

政府による介入は
企業自身の対応を制限

――スウェーデン政府は、ボルボが危機に陥ったとき、ボルボ株を引き受けず、救済しませんでした。サーブも同様に救われず、こちらは事実上、破たんしました。このことはどう評価していますか。

 一般論として、企業はいつも、企業自身の判断で行動できたほうがいい。(日本やフランスに見られるように)政府が経営に介入すれば、企業の独立と迅速な対応を制限することになります。

 フォードは、ボルボの所有権の移転について、配慮してくれました。おかげで、幸運にも、吉利という新たな所有者が見つかりました。残念ながら、サーブはそうではなかったということです。