メレディス・ベルビンは、チームにおける役割論の父として知られている。1970年代に行なった研究の結果、チームが成功するには8つ(後に9つ)の役割が機能していなければならないと主張した。1980年代終わりから1990年代にかけてチームで仕事をするのが一般的になると、彼の研究はますます重要視されるようになった。
人生と業績
1926年に生まれたベルビンは、現在は学者であるが、産業界で働いた時代もあり、現在でもコンサルタント会社を経営している。ケンブリッジにあるユニバーシティカレッジの企業人材育成部に籍を置いていたとき、彼はヘンリー・マネジメントカレッジからマネジメントチームについて研究をしてほしいとの要請を受ける。ヘンリー・マネジメントカレッジのマネジメント教育はグループワークを主体としたものであり、一人ひとりを見れば有能なエグゼクティブで編成されたチームでも、成績の悪いチームと良いチームがあることが注目されていた。カリキュラムにビジネスゲームが導入されたとき、この特徴はさらに顕著になった。ベルビンは、このようなチームの成否には個人のある種の性格が関わっており、各人の能力にはあまり関係がないということを発見した。
思想のポイント
企業にとってチームワークの重要性が高まっている中で、ベルビンの研究に熱い視線が注がれ続けている。チームワークが注目を集めているのにはたくさんの理由がある。チームワークはさまざまな利点を持ち、次のようなことを可能にすると考えられている。
・人材活用の柔軟性を増し、共同作業を促進する。
・企業文化の変革を促進する。
・問題解決やプロジェクトマネジメントを改善する。
・メンバー全員の才能を引き出す。
チームにも、一時的なチーム、部門横断的なチーム、トップマネジメントのチーム、自主独立型チームというように、さまざまなタイプがある。チームワークへの関心の高まりにつれて、チーム形態の選定や、集団における力関係、チームの成果といった、チームワーク理論が非常に重要になってきた。マージェリソン(Mergerison)とマッキャン(McCann)が提唱したチームマネジメントシステム(TMS)のように、チームに関係するモデルはたくさんあるが、ベルビンのモデルがおそらくいちばん有名であろう。