“米国一人勝ち”の状況下で
続くドル高トレンド
足元の為替市場でドル独歩高の傾向が鮮明になっている。ドル独歩高の主な理由には、世界経済の中で“米国一人勝ち”の状況になっていることがある。
米国景気はしっかりした足取りで回復傾向を辿っており、懸念された労働市場の失業率も5.5%へと順調に下落している。それを反映して、米国の金融当局(FRB)は既に昨年11月に金融緩和策を終了し、今年6月以降、政策金利の引き上げを行うとの見方が有力になっている。
一方、わが国や欧州諸国などの主要先進国、中国を中心とした新興国の経済状況は、依然として低迷が続く。わが国やユーロ圏では量的緩和策が実施されており、潤沢な流動性が供給され続けている。
中国でも昨年から既に2回の金利引き下げが実施されており、今後、景気刺激のためにさらに金利水準が下げられることが予想される。その結果、米国とそれ以外の主要国の経済状況・金融政策のベクトルが反対方向に向かっている。
当面、そうした世界経済の構図は続くだろう。そうなると、実体経済や通貨間の金利差を考えても、ドルが強含みの展開になることは自然の動きと言える。基本的に、ドル高トレンドはこれからも続くはずだ。
しかし、ドル独歩高にも問題がある。海外展開が進んでいる米国企業にとって、自国通貨であるドルが強くなり過ぎるのは収益にも大きなマイナス要因となることだ。重要なポイントは、米国政府がドル高のマイナス面をどこまで容認するかだ。