「後輩たちに任せて本当に店が回るのか? 不安に駆られます」

 こう話してくれたのは、スーパーバイザー歴15年以上の経歴を持つBさん(48歳)。若手は確かに商品知識が多いものの、店長とのコミュニケーションで齟齬が出ることがあり、お互いの信頼関係を構築できないのでは?と懸念を持っているようでした。ただ、こうした懸念が起こるのは若手社員に対する育成が十分にできていなかったことを意味しています。会社からすれば、ベテラン社員たちには「自信をもって若手に任せられる」と言えるような指導を彼らにしてほしいというのが本音かもしれません。

 もちろん、心配を口にするのは名残惜しさによるものもあるのでしょう。自分がスーパーバイザーの総責任者として仕事がしたかったのに、志半ばにして別の仕事に異動することは不本意と感じているのかもしれません。Bさんと同じタイミングに管理部門へ異動になったHさん(51歳)は、

「事務や経理の仕事なんて興味がない。モチベーションが上がりません」

 とやる気が削がれてしまった状態を語ってくれました。同じ部署で働いている期間が長いと、自分は異動しない、定年まで同じ仕事ができると誤解してしまう人がいます。ただ、人事異動はどの企業にもあるものです。「世代交代で自分は押し出さされた」とネガティブに考えずに、新しい仕事を経験できることをポジティブに捉えていくことが重要でしょう。

 ちなみに世代交代は、会社の環境さえ変えてしまう場合があります。例えばアメリカでは現在、1980年代~2000年前後生まれの「Y世代」と呼ばれる働き手の数が増えてきたことで、1945年~1964年生まれのベビーブーマー世代と世代交代する傾向にあります。Y世代とは、ベトナム戦争終結からベルリンの壁崩壊(冷戦終結)までの時代に生まれた世代のこと。彼らが10代のときにインターネットが爆発的に普及したため、ネットを駆使して仕事をするのが当たり前。また、アメリカ同時多発テロ事件に遭遇しており、政府の経済や社会政策への介入を肯定的に見る者が多いと言われています。このY世代が職場の中心になることで、フォーマルな会議室は消えて、開放的なスペースを増やす会社が増えたようです。

新部長の力不足で雰囲気は最悪
性急な世代交代の大きな落とし穴

 また、世代交代によって新たに重要な役割を任された若手も、必ずしも喜んでいられるとは限りません。ベテラン社員はいなくなり、自分を中心に職場を仕切ることができる。その喜びは大きいでしょう。しかし一方で、自分の発言や立ち居振る舞いで職場の雰囲気が変わるようになるからです。