「進化型異端児」という「杭」だけが
手にできる特権

 私はこれまでそれぞれ違う業界の企業でキャリアを積んできた。いわば異業種転職だ。「同じ業種でキャリアを積むほうが楽だろう」と思われるのならそれでもいい。私自身、自らを「よそ者」と自認し、「よそ者だからこそできることがある」と主張して、結果で立証する「杭」となって生きてきた。おかげで私は、いわば何本もの「足」を手に入れた「進化型の異端児」と自負している。

 そんな私が、かつて恐竜だった会社で働いていたメンバーが残るハイアールアジアに来て、最初に宣言したことは「ハイアールは世界一の白物家電メーカーですが、ハイアールアジアはチャレンジャーです。ですから型に捉われません。白物だけでなく黒物(AV機器などの領域)にもチャレンジします」だった。

 そして約束どおり、2015年1月の記者発表で、開発途中ではあるが、世界初の液晶ディスプレイ搭載冷蔵庫などを発表した。これらがグローバル市場でヒットするかどうかはまだわからない。失敗をして「それ見たことか」と叩かれるかもしれない。だがそれでも構わない。なぜなら「初めてやることに賛否があるのは当たり前。叩きたければ叩け」であり、私には将来すべての冷蔵庫がこのように「デバイス化する」という確信があるからだ。

 世界を舞台にして、思う存分に戦える喜び。それは「杭」となって頭を出し、世界に顔を覗かせた者だけが手にできる特権だ。

「組織や前例にパラサイトすれば、ひとまず楽に生きていける」などというのは、遠く昔に息絶えた発想である。一時のコンフォートゾーンに安住せず勇気を持ってそこから抜け出した者しか、この氷河期は生き抜けない。

 パラサイトすることで、自らを人生の脇役に追いやってしまうのではなく、何をしたいのか、いつやりたいのか、どんな風に生きたいのかを自覚し、オーナーシップを持って自分の人生を主役として生き抜くようなライフスタイルを持つ。喜んで異端児となり、喜んで叩かれる杭となる。それがグローバルという時代を幸せにサバイバルする生き方なのだと私は信じている。

 外資系企業かどうかに関係なく、これから厳しい時代を生き抜こうとする特に若いビジネスパーソンのみなさんに、私の考え方が少しでも参考になることを期待したい。