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「新たな多元社会にあっては、個々の組織は、自らの目的こそ、最も重要な中心的目標であると見る。大学が機能するには、教育と研究をもって、良き社会をつくるもの、良き市民をつくるものと見なければならない」(『マネジメント・フロンティア』)
だがそれらの目的の一つひとつは、相対的な善の一つであるにすぎない。絶対的な善ではない。
一つひとつの目的は、確かに重要であり、不可欠でもある。しかしながら、共通の善の一つの側面でしかない。
一つひとつの目的は、他に考慮すべき要件によって限定され、比較考慮され、時として下位に置かれる。われわれはそれら特定の目的の集積から、共通の善を生み出していかなければならない。
組織の目的は組織の外にしかない。たとえば顧客や市場である。病院の業績とは、満足した看護士ではなく、病の癒えた患者である。企業の業績とは、いかにそれが望ましいことであろうとも、従業員の幸福ではない。製品に満足して再注文してくれる顧客である。
「新たな多元社会は、次のような問題を提起する。すなわち社会が個々のパワーセンターによって構成され、それらのパワーセンターすべてが、共通の善ではなくそれぞれ特定の目的にのみ関心を抱くとき、いったい誰が公共の利益に責任をもって取り組むのかとの問題である」
(『マネジメント・フロンティア』)