小型の無人飛行体で購入した商品を配達――「ドローン」という言葉は、2013年12月に米アマゾンが「プライムエア」サービスを発表して以来ニュース等にしばしば登場するようになった Photo:Amazon.com

米FAAが大きな決断、アマゾン・グーグルの
「ドローン」実証試験を政府が後押し

 通称「ドローン」――小型の無人飛行体を指す。行政や学術領域での区分としては、UAV(Unmanned Aerial Vehicle/無人飛行体)、またはUAS(Unmanned Aircraft Systems)と呼ばれる。

 2015年2月、日本を含め世界各国で多くのメディアがドローンを取り上げた。その理由は、米国連邦航空局(FAA)が2月15日、世界で初めて「スモールUAS」(ドローン)に関する技術的な仕様や飛行条件等についてのガイドラインを発表したからだ。

 それによると、重量は55ポンド(約25kg)以下。飛行可能な時間帯は、公的機関の発表による夜明けから日没まで。最高飛行速度は毎時100マイル(160km)、最高飛行高度は500フィート(約152m)。そして飛行中、飛行に関する管理者が目視できるVLOS(Visual Line-of-sight)であること等を挙げた。

 また、4.4ボンド(約2kg)以下の「マイクロUAS」を含めて、パブリックコメントを同日から60日間受け付けるとした。

 ドローンは近年、陸上での移動が困難な山間部や災害被災地等の状況把握、または地図作成のための測量を目的として、欧州を中心にアメリカ、中国、そして日本の企業が製造・販売してきた。そのほとんどは、複数の小型回転翼を持つ垂直離陸・着陸型だ。

 小口の荷物配送での利用については、まずアマゾンが2013年12月、ドローンによる配達サービス「プライムエア」の動画を公開。一方グーグルは同年4月、ドローン開発企業のタイタン・エアロスペース社の買収を発表し、8月には固定翼型ドローンでの配達プロジェクト「プロジェクト・ウイング」の実証試験風景の動画を公開した。

 そして2015年3月19日、FAAはアマゾン・ロジスティックス社に対して「プライムエア」の飛行試験の実施を承認したと発表。さらに、その4日後には飛行体に関する法規であるセクション333でUASを特例として組み込み、UASの飛行可能範囲をコントロールタワーが実動している空港から5海里(約9.26km)にする等の項目を加えた。

 このように、アメリカ主導でUASビジネスが大きく動こうとしているなか、筆者としては日本においても、ドローンに関する最新情報がより多く伝わるべきだと考え、本稿を作成している。なお、筆者は今から28年前の1987年、カリフォルニア州内でFAA・自家用双発飛行機の操縦免許を取得しており、自動車等の陸上移動体の他、空中移動体に関する基礎知識がある。