【ポイント】
・妊娠85日(4ヵ月)を経過していれば、流産、死産、人工妊娠中絶も給付対象になる。
・帝王切開での出産の場合、手術や入院などの費用は健康保険が適用されるので、3割の自己負担でよい。
・独自の保障を上乗せする付加給付のある組合健保の場合、一時金が65万円など手厚い保障を受けられることもある。
・会社員の女性が退職後に出産した場合、次のいずれかから選択可能。(1)退職後に加入した健康保険、(2)勤務先の健康保険の加入期間が1年以上あり、出産したのが退職日から6ヵ月以内なら在職時の健康保険。勤務先に付加給付があれば、(2)を選択したほうがおトク。

 一昔前まで日本でもお産は自宅で行うのが当たり前だった。とはいえ、出産は命がけの行為だ。妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)、胎盤の異常などによって、生命が危険にさらされることもあるため、今ではほとんどの人が産科のある病院や診療所、助産院などで出産している。

 ただし、妊娠・出産そのものは病気ではないので、原則的に健康保険は適用されない。そこで、妊娠・出産にかかる費用をカバーするために、現金給付されているのが出産育児一時金だ。

 当初は、会社員が加入する健康保険では「分娩費」、自営業が加入する国民健康保険では「助産費」と呼ばれていたが、1994年に「出産育児一時金」に統一されて、子どもひとりにつき30万円が法定給付と決められた。その後、経済環境の変化に合わせて給付額が見直され、現在は42万円となっている。

 以前は、いったん医療機関に自分で出産費用を支払ってから、健康保険に出産育児一時金の請求をしていた。しかし、妊産婦の経済的負担を軽減するために、ほとんどの医療機関が「直接支払制度」「受取代理制度」のいずれかを導入している。

 いずれも、一時金の範囲内で出産費用を、健康保険が医療機関に直接支払ってくれるもので、妊産婦の持ち出しを少なくできる。どちらの制度を採用しているかは医療機関の規模などによって異なる。実際の出産費用が一時金よりも少なかった場合、差額を受け取れるので、健康保険に確認を。

 まれに、いずれの制度にも対応していない医療機関があるが、その場合は、従来通りに自分で医療機関に出産費用を支払ったあとで、健康保険に一時金を請求する。