ベストテンに7車がランクイン
なぜ軽自動車が売れているのか?
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2014年度(2014年4月~2015年3月)に国内で売れた新車ベスト10のうち、軽自動車が7車種を占めた。国内新車販売全体での軽自動車比率は41%と、年度で初めて4割超となった。
そんなに売れる軽自動車とは、どんな存在なのか。グローバル化が進む自動車産業にあって日本独自の軽自動車はどう位置づけられ、軽自動車生産・販売の構図がどう変遷しているか。今後の軽自動車の方向性について、読み解いてみる。
2014年度に国内で売れた新車ベスト10のトップは、トヨタのハイブリッド車「アクア」だったが、軽自動車は2位にダイハツの「タント」、3位にホンダの「N-BOX」、4位に日産の「デイズ」、6位にスズキ「ワゴンR」、8位にダイハツ「ムーヴ」、9位にホンダ「N-WGN」、10位にダイハツ「ミラ」と、7車種がランクインした。ちなみ登録車(軽以外のクルマ)は、首位のアクア、5位のホンダ「フィット」、7位のトヨタ「プリウス」。アクア、プリウスはハイブリッド(HV)専用車で、フィットも売れた台数の6割がHVだ。これを見ても、国内で売れているのは軽自動車とハイブリッド車ということがわかる。
国内の新車市場全体は、2014年4月に実施された消費税増税(5%→8%)の影響を大きく受けた。つまり、消費税増税前の駆け込み需要と実施後の反動減である。年度ベースではこれが明確に現れ、1~3月の駆け込み需要の高まりの反動減が4月以降予想以上に長引いた。結果、2104年度の総市場は529万7110台で、前年度比6.9%減となった。
新車総市場のうち、登録車が312万3980台で同8.9%減。軽自動車が217万3130台で同3.9%減。ともに消費増税の駆け込みの反動減が長引き前年度割れしたが、軽自動車市場の高水準はキープされており、日本国内の新車市場は今や軽自動車に支えられていると言っても過言ではない。
その軽自動車において、昨年度は大きなエポックがあった。スズキの新型軽自動車「ハスラー」がカーオブザイヤー(RJC)に選ばれ、さらに特別賞として「日本(ニッポン)の軽自動車」が表彰されたことである。もちろん、「ハスラー」が軽自動車SUVの新ジャンルを開拓する新型車として、並み居る小型車以上の新型車をさしおいてカーオブザイヤーを受賞したことは評価されるが、それ以上に注目されたのが「日本(ニッポン)の軽自動車」の特別表彰だった。