“社会派”ブロガー・ちきりんさんの2年ぶりの書き下ろし作品であり、発売2ヵ月で7万部に迫る大ヒットとなっている『マーケット感覚を身につけよう』。その出版を記念して開催された講演会は、募集開始から2日で全850席(3会場合計)が売り切れる大人気のイベントになりました。終了後もツイッター上で絶賛の声が止まない講演の内容は、どのようなものだったのでしょうか?
『マーケット感覚を身につけよう』の図解も担当した良知高行氏にイラスト入りでレポートしていただきます。(文・イラスト/良知高行)
ちきりんさんの『マーケット感覚を身につけよう』が発売されて約1ヵ月後。
新宿コクーンタワーで同書の出版記念講演会が行なわれました。
今回、本書のイラストと図版制作をしたご縁で、講演会へご招待していただきました。ありがとうございます。
今回の講演会は、半分は『マーケット感覚を身につけよう』の内容から。
あとの半分はマーケット感覚を活用した事例を紹介されました。
その事例の一部をイラストレポートします。
会場に到着すると、すでに入口に長蛇の列。
500枚のチケットは、発売2日間で完売だそうです。
係の方に案内されて会場に入ると、500人収容のホールがほぼ満席状態なのを目の当たりにして、「こんなすごい本に関わらせてもらってたのか……」と鳥肌が立ちました。
講演会にちきりんさん登場!
挨拶をすませると、大きなスクリーンで「マーケット感覚」についてお話ししてくれました。
さて「マーケット感覚」とは、何でしょうか?
マーケット感覚は「非論理」であり「人間の素直な欲求」です。ロジカルシンキングとセットになって1つの能力になります。
「マーケット」という言葉のイメージから、「マーケット感覚」は、優秀な人、特別な人だけの能力かと思っていましたが、「人間の素直な欲求」と考えてみると、一気に身近な感じがしてきました。
努力次第で誰でも身につけられるものなんですね!
価値観の違う人のレビューは意味がない。
価値ベースで何が求められているのか身近なもので考えよう。
グルメ情報サイトは、「ぐるなび」や「食べログ」など、すでに大きなプラットフォームがあって、新規参入は難しそうな感じがしますが、ちきりんさん曰く「まだまだ参入の余地はある」ということでした。
誰でも「あれが、あぁだったらいいのに。こういうのが欲しいのに……」と思うことがありますけど、そういう中に大きなマーケットになる種が隠れているのかもしれません。
続いて、ちきりんさんが紹介したのは、『俺のイタリアン・俺のフレンチ』という1冊の本でした。
「俺のイタリアン」や「俺のフレンチ」(以下、「俺の」)は、東京を中心に大ブレイクしている新業態のレストランです。
基本は立ち食い・立ち飲みのお店に、超高級ホテルやレストランで活躍していたシェフが、続々と転職してきて、活躍しています。
皆さんは、どうして一流のシェフが、「俺の」のような小さな、ステイタスもない職場に転職してくるのか、わかりますか?
そうか! 冒頭で「非論理的(マーケット感覚)」とは、「人間の素直な欲求」って説明していたけど、坂本さんは、シェフの持つ「作る喜び」の欲求という「インセンティブ・システム」を満たしたってことですね!
「俺の」では、店舗ごとの裁量権を料理人に与えているそうなので、自分の技術とアイディアを活かしながら、仕事に対してより充実感を得られる環境なのではないでしょうか。
講演会が終わったあと、会場の下にあるブックファースト新宿店では、『俺のイタリアン・俺のフレンチ』と、同じくちきりんさんが紹介した『クラウドソーシングの衝撃』は完売したそうです。
すごいプレゼン力!
私は、イラストレーターを生業としていますが、イラストレーターの仕事も「技術とアイディア」を活かす仕事なので、シェフが「作る喜び」を満たされる感じは共感しました。
『マーケット感覚を身につけよう』の中で、「インセンティブ・システム」を理解するのに大切なものとして、「自分の欲求と素直に向き合う」ことが挙げられています(P.172)。
一見すれば「わがまま」に捉えられそうな表現ですが、たしかに、素直に向き合わなければ、本当に作りたかったもの、やりたかったものは見えてきません。
私も、マーケット感覚を身につけられるように「自分の欲求」と素直に向き合おうと思います。
デザイン会社のグラフィックデザイナー、フリーのイラストレーターを経て、株式会社悟空へ入社。イラストレーターとして勤務。社外活動として、自身のイラストレーターの経験を書いたブログ「イラストで家を建てました。プロが教えるイラストレーターが仕事をする方法」を運営。