

このような相手の行動を追跡する「行動ターゲティング型」のネット広告は、一般的なマス広告に対して費用対効果が高いため一気に主流となり、結果、2014年の国内のネット広告費が初めて1兆円を超えるほど、莫大なカネを生むようになった(電通調べ)。
だが、こうしたターゲティング広告は、その“原料”として、大量の個人データを必要とする。
もともと、ネット広告は新聞やテレビと同じように「広告枠」を売るというビジネスモデルからスタート。国内では1996年から「バナー広告」の取り扱いが始まった。
それが、グーグルが検索ワードに連動した「検索連動型広告」を始めた02年に大きな転換点を迎えることになる。
サービスを「無料」で開放することで、人の欲求を素直に表す検索ワードを集め、より関心に沿った広告を打つモデルを生み出したのである。
ウェブという特性から、実際に広告がクリックされた回数など、広告効果も正確に測定でき、しかもシステムで運用するため、広告出稿のコストも劇的に下がった。
その結果、瞬く間に広告が集まるようになり、グーグルのような広告モデルのネット企業は急成長を果たす。
すると今度は、さらに興味や関心を探るため、ウェブ閲覧履歴やサービス利用履歴などの要素も加味するようになる。そのためには大量の個人データが必要。そこでネット企業は、得た収益を元手に新たなサービスを開発して無料で提供、次から次へと個人のデータを奪っていったのだ。
さらにスマホの登場によって移動履歴などのセンサー情報もため込めるようになり、広告の“精度”は劇的に向上した。
だが、このようなネット企業を脅かす存在が登場する。それが、フェイスブックやツイッターといったソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)である。