このところ話題の「腸内フローラ」という言葉をご存知だろうか? この2月にはNHKスペシャルでも取り上げられたほどだが、まだその実態を詳しく知らない人のほうが多いはず。
人間の腸内には様々な菌が棲んでいること、それらをおおまかに善玉菌・悪玉菌と呼ぶことはあまり健康に関心のない男性でもご存じだろう。腸内フローラとは、腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)とも呼ばれる、腸の中に住むこれら細菌たちの生態系のことをさす言葉である。
腸内菌は100種類以上、個体数でいえば約100兆個にもなると言われる。それらの出す化学物質が想像以上に人間の健康や美容に大きな影響を与えることがわかってきた。件のNHKスペシャルによれば「腸内フローラはワクチンの開発や抗生物質の発見に匹敵するインパクトを持つ」との見方もあるようだ。
少々大げさだろうか? 腸内菌の影響はがんや糖尿病などの病気、肥満や肌のシワなどにも及ぶとされ、さらにはうつ病のような心の病気との関連もあるとみられている。免疫機能を調整する作用もあるため、花粉症などのアレルギーを抑制する効果も期待されている。ならば腸内フローラの研究は、現代医療のブレイクスルーとなりうる一大分野と考えてよさそうだ。