Photo by Ryosuke Shimizu
国内化学大手の三井化学が頭を悩ませている。悩みの種は、紙おむつ。同社は紙おむつの材料である不織布を生産しており、それが品不足に見舞われてきているのだ。
原因は中国人による紙おむつの“爆買い”で、数字を見てもその影響は明らか。衛生材料の業界団体の統計によると、2014年の国内の乳幼児用紙おむつの生産枚数は、少子化にもかかわらず前年比で12%も増えた。
「本来、必要としている人に行き渡らないんですよ」。ドラッグストア幹部はこう吐き捨てる。来日した中国人観光客が自分の子どものために、あるいは親戚やご近所へのお土産に買っているだけならいいが、ブローカーの“買い子”が大量に買いあさっているのだ。
この幹部によると、ブローカーは買い子から紙おむつを1.25倍の価格で買い取って船で輸送。「日本製」を重んじる中国の消費者に倍額で売る。ブローカービジネスがはびこっているというわけだ。
投資額でかい不織布工場
買い子は店にあるだけ全部買っていくため、数量制限を設けている小売店も多い。だが、それを見越して車で買い回っているから効果は限定的だ。「中国人から神格化されている」(ドラッグストア関係者)という花王のメリーズに至っては、納品トラックの後を追い掛けて購入するつわものもいる。