職場の空気に合わせる人で、
「ずば抜けた結果」を生み出す人はいない

——『シンプルに考える』より、「すごい人は、自分が『違う』と思えば、空気を読まずに突き進むところがある」。「空気を読む」ということについて、森川さんはかなり厳しい意見を述べられていますね。
森川 空気を読むということは、目の前の些細なことに気を遣って本質を見ていないということなんです。大切なのは、そのとき誰かを傷つけたとしても、正しい選択をすること。これが、結果を出してみんなを喜ばせることにつながるはずです。もちろん、傷つけてしまった人がいたら、あとでちゃんとフォローしなければいけませんが……。
南場 うん、おっしゃるとおり。
森川 サッカーの試合中、「仲のいいやつが来たからパスしなきゃ」なんて考えているうちにボールを取られたら、元も子もありません。そんな余計なことを考える時間があったら、シュートしてゴールを決めるべきで。その結果チームとして試合に勝ったほうが、メンバーはうれしいでしょう。
南場 『シンプルに考える』のなかに、「純粋に結果を求める人が集まっていればケンカにならない」って書いてあったでしょ? 我が社も同じで、成果を出す人は空気を読まないけれど、ケンカもしない。でも、成果を出すために必要だと思えばきちんと議論するし、あるいは「チームを外れてほしい」と厳しいことを伝えるときも誠実に伝えます。そのほうがより深い理解は得られるし、建設的だから。
森川 率直に言えば……そんなことで恨むような人はチームにはいらないんですよ。
南場 うん。チームとして勝つことにコミットしてもらわないとね。
森川 あと、空気を読んだらいけないのは経営者も同じです。なぜかというと、優しい経営者だと思われたら意思決定が大変だから(笑)。
南場 あはは、そうね。
森川 根は優しくても、「冷たい」と思われなければいけない。そうすることで、意思決定が早くできたり、迅速な舵取りができるようになります。でも、本当は人の気持ちがわかるからこそ、あとでフォローもできるわけで。
南場 空気を読めたとしても、目的意識を劣後させちゃいけませんね。