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中国インターネット界の検索サービスの雄「百度(Baidu、バイドゥ)」。日本にも進出したが、日本における検索事業は終了し、今ではスマートフォンの日本語入力アプリ「Simeji」の開発と、爆買いで期待される中国人を呼び込むインバウンドサービス企業へと変貌と遂げている。漠然と中国人の爆買い需要に期待しているが、何をしていいかわからない、という日本企業はまだまだ多いが、百度日本をどのように活用できるだろうか。百度日本・国際事業室の高橋大介氏、事業企画本部の岩間千香子氏に話を聞いた。
検索エンジンの「百度」が
日本ではインバウンド事業を展開
「日本の検索サービスについては、3月にクローズ告知をしていますが、サービス自体は2013年から更新していません」と岩間氏。「今力を入れているのは、世界的なパソコンからスマートフォンへのシフトの中でその流れに乗ることであり、日本向けには日本語入力ソフトSimejiに注力しています」という。日本向けにはSimejiだが、百度本社は中国と日本以外でもアプリなどを展開しており、セキュリティソフトやバッテリーユーティリティがある。
「Simejiにリソースを注力しています。Android向けも順調ですが、去年にiOSが入力システムを開放したこともあって、両OS向けにリリースしています。iOS版については、Appleによる『Best Of 2014 今年のベスト』に選出されました。おかげさまでiOS版とAndroid版は累計ダウンロード数は1500万を記録しました。この数字から、日本のスマホユーザーの5人に1人がshimejiユーザーであるといえます。iOS版は辞書が充実し、他のプラットフォーム版と辞書をクラウド対応し共有する課金バージョンをリリースしていますが、今後はAndroidとWindowsでも同様の課金バージョンをリリース予定です」という。
もうひとつ注力している分野がある。中国進出向けビジネスだ。
開始当初はまだ尖閣問題で日中関係が冷えており、中国ネットユーザーの日本への関心も減少していた。それは検索数にもはっきりと表れていた。「ここ2年くらい環境が改善しましたね。『日本旅行』という検索ワードが、尖閣問題当時以上の数となりました。今年の春節でも爆買いが話題になりましたが、そこにさらに桜の季節がきた。すごく日本に関心があることを感じます」(高橋氏)という。
円安とビザ緩和で、より日本旅行が身近に、そして魅力的になった。中国で日本のモノを買うと、何段階もの中間マージンが発生する上に、関税もかかり、さらに17%の増値税(日本の消費税に相当する)がかかる。日本で友人知人に頼まれたものを含め爆買いして現地で売ると、それだけで旅費の元さえ取れてしまうケースもあるという。購買対象は化粧品やサプリメントなどの小物だけでなく、炊飯器や温水洗浄便座にも及ぶ。特に「日本にいって便座を爆買いする」行為は、中国メディアからも滑稽だとして批判された。