IoTが過熱化してきた。新技術・新産業が普及・勃興する時に必ず通る“Hype”(過熱した人気)フェーズにさしかかっている。歩数計、血圧計、腕時計、環境モニター、セキュリティーカメラ、空調用サーモスタット、洗濯機から電球に至るまで、何でもネットにつながりつつある。
アメリカではIoT関連企業が
1000社以上誕生している
アメリカのベンチャー企業の分析とデータを提供する「ベンチャー・スキャナー」によれば、今日の時点で認知されているIoTベンチャー企業の数は781社。まだ創業間もない企業などを加えれば1000社を優に超えるだろう。そのうち、約60%が直接ユーザーに関わるコンシューマー系IoTベンチャー企業と見られる。
スマートフォンの世界的普及により、サービスの頭脳の部分がすでに消費者の掌の上にある。それに加えて、クラウドサービスの普及と相まって、低コストで機器がつながりサービスを提供することができるようになった。
さらに、マイコンチップやセンサーなどの高度なコンピュータ部品が低コストで手に入るようになったこともIoT参入の障壁を下げる要因となっている。このような環境で、IoTの流行は起こるべくして起きたと言えるであろう。
かつてのホームオートメーションのビジョンは、各社それぞれの機器と独自規格だけでつながれたものであった。他社の製品はつながらない、機器のコストが高い、サービスアプリケーションがない、という状況では普及の兆しすらないのは当然だった。
状況は変わった。機器が簡単に低コストでつながるようになったため、ネットにつながる機器がこれから市場に溢れるようになる。さらに、「帰宅して玄関の鍵を開けたら自動的に電気やエアコンがつき、お風呂を沸かす」というようなかつて言われていたホームオートメーションのビジョンを実現するには、種々の機器が相互につながりデータを共有したり動作を連動したりする必要が出てくる。
IoT共通プラットフォームの必然
このように異なるメーカーの機器が連動し、異なるサービス提供者同士のデータが相互利用されるために共通プラットフォームが必要になることは明らかだ。今まさにプラットフォームの天下取りの段階が来ており、ホームオートメーションが「スマートホーム」と名前を変えて立ち上がる時期に来ている。
プラットフォームの進展には、ユーザー主導とサプライヤー主導の大きく2つの流れがある。ユーザー主導とは、まず機器を普及させてその標準をデファクト化させていく流れ。サプライヤー主導とは、通信やアプリケーテョンの共通基準や共通ツールをIoT分野に参入する企業に提供する流れである。