さまざまなパラレルキャリア

 なぜ、パラレルキャリアは特別な人のものではないのでしょうか。それは、パラレルキャリアはさまざまに存在するので、柔軟に捉えてよいからです。

 たとえば本業とは、本人がそれを本業と考えていればそれでいいのです。雇われていてもいなくても、自営業でも、たまたまお金を稼がずに家事、育児、勉学、社会貢献に専念していても、本人が中心的に取り組んでいる内容は本業と考えられます。

 一方、社会活動とは、本人が本業以外に熱心に取り組んでいることです。どんな些細なことでもいいのです。同窓会の幹事、地域の自治会活動、仲間との自主的な勉強会、NPO活動、ボランティア活動、コミュニティカフェの活動への参加、対話集会への参加、こんなさまざまなことが社会活動にあたります。

パラレルキャリアって、なんの役に立つの?

「なんだ、そんなことなら、とっくにやっているよ!」という方もいらっしゃることと思います。そんなこと、なんの役に立つのか、という疑問もあるかもしれません。

 筆者は、パラレルキャリアには本業と社会活動を同時に行なうことで、その相互の学びをいかして自己成長できる効果があると考えています。具体的な効果については、連載の中でご紹介していきます。

 パラレルというと、「並行」というイメージが湧き、本業と社会活動が交わらない、あるいはバラバラに行なう、と考えてしまうかもしれません。しかし本連載におけるパラレルキャリアとは、本業と社会活動が循環して、お互いによい影響を与えることを想定しています。

 つまりパラレルキャリアとは、個人が雇用されている会社の本業だけに専念するというキャリアのあり方を、もっと柔軟に考えてもいいのではないか、と捉えなおす新しい提案です。

 たとえば、「本業×社会活動」以外にも
「本業×働く」
 「本業×学ぶ」
 「本業×趣味」

 という、同時進行もパラレルキャリアに含めることができるでしょう。