仮想通貨による
取引の仕組み
ビットコインがよく知られた仮想通貨ですが、実際は複数の仮想通貨が存在し、競争しています。本書では、まずビットコインを例にして解説が進みます。
ビットコインは、誰でも簡単に利用することができる。まず、「ウォレット」と呼ばれる財布を、PC(パソコン)またはスマートフォンに作る。ウエブにある両替所で円やドルを支払い、ビットコインを入手する。ビットコインを受け入れる店舗(大部分はオンライン)で買い物をして、対価をビットコインで支払う。二〇一四年五月初めの時価総額は五四・七億ドル(約五五〇〇億円)だ。利用者も店舗もアメリカに多い。(22ページ)
ビットコインの両替所だったマウントゴックスの破綻によってビットコインは色眼鏡で見られていましたが、ビットコインそのものとは関係ないことだそうです。
仕組みがよくわからないとなかなか理解しにくいでしょう。こういう仕組みです。
まず、仮想通貨ビットコインには発行元の中央銀行はありません。政府も関係ありません。
その中心は、「ブロックチェーン」と呼ばれる取引の記録だ。そのデータは、どこかのサーバーが一元的に管理しているのではない。公開されていて、多数のコンピュータが形成するネットワークが、全体として維持している。つまり、ビットコインを支えているのは「人々」だ。こうした仕組みを、Peer to Peer(ピア・ツー・ピア/P2P)と言う。/ブロックチェーンには、ビットコインの過去の取引すべてが記載されている。しかもそれは、偽造貨幣や二重取引を排除した「正しい」取引の記録であり、改ざんも事実上できない。(25ページ)
この取引記録そのものが価値となります。取引記録のチェックはPCで行ないますが、計算するためにはPCの能力が重要です。暗号解読と演算ですから。
ビットコインを受信すると、ただちにその記録がブロックチェーンの末尾に記載されているかどうか確認します。これを演算して確認できればビットコインの所有者となり、送金できるようになります。そしてブロックチェーンを確認する演算そのものが価値を生みます。
ブロックチェーンを維持する行為は、ボランティア活動ではない。ビットコインの形で報酬を受け取れる可能性がある。それを金鉱採掘に見立てて、「マイニング」と呼ぶ。それによってビットコインの総量が決まる。なお、少額のビットコイン取引には手数料が課され、それもマイナー(採掘者)の報酬になる。したがって、ビットコイン総量が限度に達した後も、ブロックチェーンは更新され続ける。(25ページ)
ビットコイン同士で取引していれば手数料はかからないことになりますから、寄付行為には便利で、最近は目につくようになりました。ただし、円やドルなどの通貨へ両替するときには交換レートが生まれ、手数料もかかるうえ、レートは変動します。投資家が目をつけるのはここで、価格差があれば投資の対象にします。
手数料がかかるとはいえ、メガバンクの海外送金手数料に比べれば、はるかに少額になるでしょう。もっとも、受け入れる店やNPOなどの経済主体が増えなければ使い勝手はよくなりません。日本国内の取扱い主体はまだ非常に少ないということです。