というのも、ギリシャの財政は火の車で、巨額の借金を返済する余力はなきに等しく、借金を棒引きしなければ、生き残れないのは明らかなのだ。今回の支援再開で、当面の借金返済には応じられても、その先にも巨額の国債の償還が控えており、このままでは、そのたびに危機が再燃しかねないというのが実情なのである。

リスクオフの世界同時発生で
危惧される“共震”クライシス

 政治リスク分析の専門家集団、ユーラシア・グループを率いる国際政治学者のイアン・ブレマー氏は、この中国と欧州の危機に早くから目を付け、2015年のトップリスクに挙げて警鐘を鳴らしていた。

 そしてブレマー氏の予想通り、世界の金融市場は6月以降、この二大リスクオフ要因に翻弄され、株式市場はジェットコースターのように乱高下を繰り返してきた。

 リスクオフとは、投資家心理が悪化することで、株式や新興国通貨といったリスクの高い資産を避け、国債など相対的に安全な資産に資金を移すこと。株価の下落などを引き起こしやすいとされる。

 しかも足元では、中国やギリシャだけでなく、複数のリスクオフ要因が同時発生する“共震”の危険性が高まっている。「相場のテーマが目まぐるしく変わる不安定な環境が続いている」(外資系証券アナリスト)。これは、“共震”が発生しやすい環境ともいえる。

 実際、リスクオフを引き起こす火種は世界各地でくすぶっている。

 例えば、原油価格の急落。7月14日、イランの核協議が最終合意に至ったことで、欧米が科していた経済制裁が段階的に解除される。

 そうなれば、大産油国であるイランの石油生産が増産されるため、供給過剰感から原油価格が下落して、金融市場が混乱するリスクが指摘されている。

 欧州にはギリシャ以外にも、リスクオフの発生源となりそうな国が複数存在する。

「スペインでは、ギリシャのチプラス政権と近しく、反緊縮を掲げる左派のポデモスが政権を握る可能性がある」(岸田英樹・野村證券シニアエコノミスト)。また、イタリアでは国債の格下げリスクが不安視されている。あともう1段階引き下げられると、投資不適格となってしまい、そうなれば、国債価格は暴落しかねない。

 両国共にギリシャよりはるかに大きい経済規模であるだけに、現実となれば、世界の金融市場が、ギリシャ危機を上回る衝撃に見舞われることは間違いない。