6月26日、経済産業省からひっそりと発表された報告書(「板ガラス産業の市場構造に関する調査報告」)の内容が波紋を呼んでいる。
報告書は、産業競争力強化法第50条で定めた調査に基づくもので、大義名分はどこか物々しい。
「政府は、事業者による事業再編の実施の円滑化のために必要があると認めるときは、商品若しくは役務の需給の動向又は各事業分野が過剰供給構造にあるか否かその他の市場構造に関する調査を行い、その結果を公表するものとする」
経産省のメッセージを要約すると、こうなる。「世界的に見て、日本の板ガラス業界は供給過剰の状態にある。将来的に国内需要は縮小に向かうことから、設備の統廃合を含めた再編に踏み切るべし」(業界関係者)。板ガラス業界といっても、旭硝子、日本板硝子、セントラル硝子の3社だけ。そろってガラス事業の低迷が続くことから、まとめて狙い撃ちにされた。
自動車用世界2位は中国
この報告書には3社からのヒアリングの結果も反映されているが、業界内には反発が強まっている。
複数のガラスメーカーの幹部に聞いてみると、「大きなお世話だ」と共通した反応が返ってくるのは経産省が指摘した以下の3点だ。
第一に、技術力を付けた中国のメーカーが日本市場に輸出攻勢をかけてくる。第二に、複数のメーカー間で設備を一体運営する有限責任事業組合を活用する。第三に、企業間・地域間で素板(もといた)(加工前の状態)のスワップ取引を行う。