上田 彼らはいったいどんな仕事をしているのか? 08年6月までに認証を受けたNPO法人の定款に記されている活動分野を見てみましょう。保健、医療、福祉の分野がトップで、社会教育分野も増加中。NPOの約85%が複数の活動をしているので、合計では100%を超えています。このように、NPOは世の中に着実に定着しつつあります。

 しかしこのNPO、社会でかなり重要な役割を担っているにもかかわらず、経済的には大変苦しいのが現状なんです。

 経済産業研究所が06年に行なった調査を見ると、NPO法人の常勤スタッフの平均年収は、なんと166万円程度に過ぎません。家族がいたらとても生活できないほど低賃金ですが、これでも前年の調査より増えているほど。しかも一方で、年収50万円にも満たないスタッフも2割以上いるんです。NPOは、いったい何故これ程おカネがないんでしょうか?

竹中 営利目的の株式会社などと違うので、どうしても財政は苦しいんです。皆社会に問題意識を持つところから出発し、国や市町村だけではどうしても手が回らないことを民間のボランティアでやるわけですが、ボランティアを一般の人にお願いするにしても、やっぱり事務所を持たないといけません。

 そうなると、事務所やボランティアを管理するスタッフも1人や2人は必要になるから、家賃や人件費がかかる。それに対して、運営費用は寄付などで賄っているわけだから、台所事情は当然、厳しくなりますよね。

上田 そうまでして「非営利」で活動するのは何故なんですか?

竹中 たとえば、幼稚園や学校に通う小さな子供の送り迎えなど、公的な性格のサービスでも国や自治体では手が回りきらないことがたくさんあります。その部分をしかっりやって行こうというのが、彼らの目的なんです。

 実は、日本は公的なサービスを民間が行なう風潮が、諸外国と比べてあまり根付いていません。海外を見渡せば、例えはあまりよくありませんが、職業軍人だけでなく、民間人も参加する「徴兵制」がよい例でしょう。

 裁判員制度も同様で、全て公務員の裁判官だけに任せるのではなく、民間人も参加する。文化事業についても、歌舞伎のような伝統芸能には政府から補助が出ますが、「ヘビメタ(へビィメタル)」などの民間の音楽活動には当然、おカネが出ません。