首相談話は「首相の思いを語るもの」でしかない
一方、小泉首相の戦後60年の談話も野党や国民はもとより、与党内で幅広く話し合った形跡は認められない。
つまり首相談話は基本的に首相自身の思いを語るものなのである。その限りにおいて、歴代内閣を縛り続けるものでもないはずだ。
1995年に『エイズ犯罪 血友病患者の悲劇』(中公文庫)で第26回大宅壮一ノンフィクション賞、1998年には『日本の危機』(新潮文庫)などで第46回菊池寛賞を受賞。
2007年「国家基本問題研究所」を設立し理事長に就任。2011年、日本再生へ向けた精力的な言論活動が高く評価され、第26回正論大賞受賞。2011年、民間憲法臨調代表に就任。
著書に最新刊『戦後七〇年 国家の岐路 ー 論戦2015』(ダイヤモンド社)、『「正義」の嘘』(花田紀凱氏との共著)『日本人のための憲法改正Q&A』(以上、産経新聞出版)、『日本の敵』(新潮社)、『日本人に生まれて良かった』(悟空出版)など多数。
21世紀構想懇談会座長の西室泰三氏らが懇談会が談話を書くのではないと発言したのは、その意味で正しい。談話は安倍晋三首相が自らの思いをまず書くのがよい。それに懇談会が助言すればよいのである。
2月24日、自民党政調会長の稲田朋美氏が自ら主催した「道義大国をめざす会」で語った。
「首相談話について、各方面からさまざまな声が聞こえてくる。しかし、談話の内容は首相に任せるべきだ」
会場から大きな拍手が湧き、氏はこう続けた。
「歴史観というが、大事なことは歴史の事実である」
ここでも大きな拍手が湧いたのは多くの人々の間に、中韓両国などが日本に強要する歴史観は、慰安婦にしろ南京事件にしろ、歪曲した事実の上に立っているという実感があるからであろう。
歴史の歪曲を正し、正しい歴史事実に基づいた歴史観の表明を、多くの人が望んでいると感じた場面だった。