談話を出さないことも、一つの賢い判断

慰安婦は強制連行だったという吉田清治証言の嘘を暴いた歴史研究家、秦郁彦氏は第30回正論大賞受賞式で語った。

「談話を出さないことも一つの選択肢として考えてほしい」

首相談話は出さなくてはならないという性質のものではない。しかし、出したからには独り歩きする。さまざまな前提条件をつけられて自らの思いに沿わない談話を出す事態が生まれるのであれば、出さないことも、一つの賢い判断であろう。

一方、「21世紀構想懇談会」座長代理の北岡伸一国際大学学長の発言が目立つ。氏は座長代理として皆の意見を集約する立場にあるが、折々の会見でどう見ても自身の考えではあっても、懇談会全体の考えだとは思えない発言を繰り返している。

3月には「私は首相に『日本は侵略した』と言わせたい」と語った。また、6月25日の6度目の会合で懇談会の議論が終わり、あとは7月中に報告書をまとめるだけとなった段階で「(先の大戦で)侵略をしたという事実は、表現はともかく(報告書には)書くのではないか」と語った。

これに対して、懇談会のメンバーの一人、グロービス経営大学院学長の掘義人氏は、懇談会の議論は必ずしも北岡氏の語るような形でまとまってはいないと反論した。