戦後50年の村山談話、戦後60年の小泉談話、そして8月には戦後70年の安倍談話が控えていると言われている。中国はもちろん、野党、メディアまでが安倍談話にさまざまな注文をつけようとしているが、過去に談話が発表された状況を見る限り、こうした「監視体制」はきわめて異常だ ― 新刊『戦後七〇年 国家の岐路』を上梓した櫻井よしこ氏が語る。
首相が「勝手に出す」のが、
これまでの首相談話の通例
戦後70年の首相談話をどのような内容にするか、談話に資するための「21世紀構想懇談会」の第1回会合が開かれたのは、今年2月25日のことだった。
村山富市首相や小泉純一郎首相も談話を出したが、いずれも各首相が勝手に、と言っては失礼かもしれないが、ほぼ独断で出した。
その証拠に、例えば村山談話は、閣議決定されたとはいえ、反対しそうな閣僚には当日まで秘密裏に事を運んだ。万が一、閣議の場で反対するような場合には、閣僚を罷免させる覚悟で村山氏は閣議に臨んだという。
野党や国民の意見はおろか、与党内の意見調整も十分には行わずに首相談話の閣議決定が行われたわけである。これらの前例と比べれば安倍談話に関しては物々しい監視態勢が出来上がっている。
まず国際社会である。中国は繰り返し、日本が歴史を反省し、村山、河野(洋平・内閣官房長官)両談話の文言を踏襲せよと迫る。2月23日にも王毅外相が国連安全保障理事会の公開討論会で、日本を念頭に「過去の侵略の犯罪をごまかそうとする者がいる」と牽制した。
韓国も日本が反省し続けることを要求する。中韓両国の情報戦略に影響を受けている米国も中韓両国と足並みをそろえるかのように水面下で圧力をかけ続ける。国内では野党以下、メディアまでさまざまな注文をつける。