今やビジネスを始めたり、発展させようとするときにスマートフォンと全く関係しないということはほとんどあり得ません。どれだけ優れたアイデアがあっても、プログラムの力なくしては実現できないことが多いのです。

 そして、開発を依頼するにも、プログラミングの知識ゼロの人が、依頼したソフトをイメージ通りに作ってもらえる確率は、残念ながらとても低いと言わざるを得ません。

 なぜなら、プログラミングの知識がゼロでは、プログラマーとうまくコミュニケーションをとることができないからです。その結果、何百万円、何千万円という費用を払った挙句に、うまく動かない、イマイチなプログラムを納品されてしまうことになってしまいます。

帰納的に考えるプログラマーと
演繹的に考える文系パーソン

 さらに強調したいのが、プログラミングの知識だけでなく、プログラマーの気持ちや考え方を理解することも大切だということです。

 なぜなら、プログラマーと文系ビジネスパーソンとでは、考え方が異なるからです。 一つ例を挙げましょう。
 たとえば、プログラマーはどうしても物事を帰納的に分解しながら理解しようとします。
 あるテーマを与えられたら、それがどのように分類できるか、分解できるかを考えます。
というのも、大まかなテーマを細かい部品に分解し、それを組み立てるのがプログラミングであり、それがプログラマーの通常の思考法だからです。

 対して文系ビジネスパーソンは、物事を演繹的に考えることが多いのではないかと思います。
 演繹的とは、「○○ならば××、そして××になったあとは□□」というように、思考をどんどん広げていくことです。文系ビジネスパーソンが企画書を書くときなどはまさにそういう書き方になります。

プログラマーは最初に完成形をイメージして、それを部品に分解してから作ります。
しかし文系ビジネスパーソンは、まず土台を作り、その上にいろいろな機能を追加していくことで企画書を仕上げます。

 書き上がった企画書をもとに、プログラマーが構造に分解したものを「仕様」と呼びますが、プログラマーが仕様の変更を嫌がるのは、プログラマーは最初にイメージされた完成形からブレイクダウンして日々の作業を行っているのに、仕様が途中で変更されると、他の細かな部分と整合性がとれなくなるからです。