ここにきて、僕の周辺では潜在的日本酒ファンのカミングアウトが続出。以前にも増しておいしい日本酒を飲む機会が増えてきた。ならば、通常の飲み会は他に譲り、学習意欲の高い集まりを企画しよう。利き酒をメインに、毎回異なるテーマを設定して知られざる銘柄を開拓・応援していこう、という主旨の会を行なっている。

全神経を集中させて
新酒の個性を利き分ける

 その第1回では、「平成21BY(平成21年7月1日~翌年6月30日に醸造。BYはBrewery Yearの略)新酒飲み比べ」をテーマに銘柄を厳選した。メジャーではないが、日本酒通のあいだではかなり認知されている銘柄のいわばバトルロワイヤル。会費の関係上、平均単価1500円を超えないように首都圏の酒販店から買い集めた新酒を利き分けて極上酒を探し出そうというのが狙いだ。

 試飲した銘柄は以下のとおり(五十音順)。なお、会当日まで自宅冷蔵庫で管理しなければならないため、容量はすべて720mlに統一した。

(1)「会津娘」純米本生「雪がすみの郷」 1310円(福島県会津若松市)
(2)「亀甲花菱(きっこうはなびし)」豊醇旨口 純米生原酒 1240円(埼玉県騎西町)
(3)「紀土(キッド)」吟醸おりがらみ 998円(和歌山県海南市)
(4)「佐久の花」純米吟醸 無濾過生原酒 直汲み 1475円(長野県佐久市)
(5)「信濃鶴」しぼりたて純米生酒 無濾過 1360円(長野県駒ヶ根市)
(6)「花陽浴(はなあび)」純米吟醸 無濾過生原酒 山田錦「雫」 1680円(埼玉県羽生市)
(7)「本州一」しぼりたて純米吟醸 1400円(広島県広島市)
(8)「松の寿」吟醸 無濾過生原酒 1470円(栃木県塩谷町)
(9)「三芳菊」特別純米 無濾過生原酒 1575円(徳島県池田市)
(10)「陸奥八仙」特別純米生原酒 槽酒 1470円(青森県八戸市)

信濃鶴――伊那谷から飛来した「鶴」は高CPで香り高き純米酒

 いくら知名度が高くないとはいえ、ラベルが見えていたら正確な利き酒はできない。そこで、これら10本をそれぞれ新聞紙で包み、正体を隠してしまうことで先入観が入り込まないよう、しっかりとガードした。