生き馬の目を抜く中国でも、とりわけ激しい競争を強いられている日系電機メーカー。そんななか東芝は、複写機(MEP)市場において9年連続で首位を独走している。夢を打ち砕かれて中国から撤退する有名企業も少なくないなか、同社は何故それほど強いのか? 東芝泰格信息系統(深セン)有限公司の須毛原勲・董事・総経理は、取引先と強い信頼関係を築くと共に、リスク意識もバランスよく併せ持つことの重要性を指摘する。

東芝泰格信息系統(深セン)有限公司の須毛原勲・董事・総経理は、「取引先と強い信頼関係を築くことが第一義」と語る。中国ビジネスでは、取引先へのリスク意識と双方の信頼感の絶妙なバランスこそが、必要だという。

――これまでのご職歴を教えてください。

 1985年に東芝入社以来、ずっとPCや複写機といった情報機器の海外畑を歩んできました。米国、シンガポールの駐在を経て、2004年4月より上海にて中国事業を担当しています。

――東芝が中国で複写機ビジネスを始めたのは、いつ頃ですか?

 80年代後半に、武漢にてローカル企業と技術援助契約をしたのが始まりです。96年に深センに工場を設立し、中国内販権を取得。2000年にトップシェアに躍り出て以来、これまで中国の複写機(MEP)市場で9年連続首位をキープしています。

――08年後半からの金融危機の影響を、東芝の中国ビジネスも受けましたか?

 もちろん、ありました。リーマンショック以降、市場は急速に冷え込みました。現地に進出している日系企業でもコスト意識が強まり、要求が厳しくなりました。

 08年は、リーマンショックだけでなく、四川大地震(5月12日)の影響もありました。四川大地震の後、中国の政府機関は他の予算を一部カットして、四川の救済や復興に振り向けました。その影響が徐々に効き始めた08年の後半に、リーマンショックで追い討ちをかけられた感じです。

 ただ、中国のMEPビジネスに関しては、09年の途中から状況は回復しつつあると思います。