資金計画は綿密に

「終の棲家」として田舎に定住する覚悟なら、都市部にある自宅を売却し、その資金を元手に移住先で新たに住宅を購入できる。

 しかし、将来、医療面の心配などで自宅に戻ることも視野に置いている人は、自宅を保有したまま、移住先でも住宅を賃貸または購入することになる。場合によっては自宅と田舎を往復する交通費も掛かる。それなりの綿密な資金計画が必要だ。

 一般社団法人移住・住みかえ支援機構(JTI)は、シニア層の住み替えを資金面で支援しようと06年から国の補助も得て「マイホーム借上げ制度」を始めた。自宅をJTIに借り上げてもらい、安定的な賃料収入を得られれば、田舎暮らしの生活資金にも余裕が生まれる。いざというときも自宅に戻ることができる。

 借り上げ賃料は空きが生じても査定賃料の85%が保証されるが、定期的に見直されて賃料が下がる場合もある。

 JTIでは10年以上の長期で借り上げ期間を設定し、その間の借り上げ賃料を定額で保証する定額最低保証家賃制度を導入。月5万円を20年間保証している物件であれば、それを原資に融資に応じる銀行もある。

 ただし、JTI代表理事で立命館大学教授の大垣尚志氏は「自宅を定年後の資産として有効活用するには60才までに住宅ローンを払い終わることが重要」と注意を促す。住宅ローンの借入期間は、以前は最長で25年だったが、2000年以降は35年に長期化した。その結果、60才までに返済が終わらない人が1000万人以上との推計もある。JTIに借り上げてもらっても、賃料は住宅ローン返済に回るだけで持ち出しになってしまう可能性もある。

 そこで、大垣氏がお勧めするのは今年4月から住宅金融支援機構が始めたダブルフラット融資(右図)で借り換える方法だ。定額最低保証家賃で返済できる範囲でフラット35、残りを返済期間15~20年で金利が安いフラット20に借り換えることで、毎月の返済額をあまり増やさずに繰り上げ返済と同じ効果が得られる。