今週、晴れて子どもの入学式を迎えるという家庭も多いだろう。あちこちで式に出席する親子連れを見かける。入学という節目に、数十年後の子どもの姿を思わず思い描いている人もいるかもしれない。
株式会社クロス・マーケティング(東京都中央区)では、日本・中国・韓国の小学生から大学生の子どもを持つ男女を対象に「教育・子育て」における意識調査を実施した(※)。
日本・中国・韓国でそれぞれ違う
「教育に関する意識」
この結果、子どもに対してどんなことを期待しているかについて、各国で大きな意識の差が見られた。
アンケートは「向上心」「好奇心」「独立心」など8つの選択肢から、「子どもの可能性を広げる上で大切な意識」はどれかを選ぶもの(単一回答)。
日本では1位から順に「向上心」(39.7%)、「好奇心」(28.2%)、「探究心」(20.9%)という結果となったが、中国では「闘争心」(28.3%)、「独立心」(22.3%)、「好奇心」(13.0%)、韓国では1位の「自尊心」が以下を大きく引き離して53.8%、続いて「探究心」(18.7%)、「好奇心」(11.0%)と、それぞれの国で傾向が大きく異なった。
例えば日本の1位である「向上心」は、中国では5位(7.0%)、韓国では7位(1.7%)、逆に中国の1位「闘争心」は、日本では7位(0.8%)、韓国で4位(8.4%)という結果となっている。
各国それぞれの傾向が顕著に表れた結果となったが、この中で、唯一3カ国すべてで3位以内入ったのが「好奇心」だった。
親と子の考える「好奇心」は別!?
何かに情熱を傾けるときの原動力となる好奇心。しかし、日本の子どもたちにとって、自分が身につけたいものとして「好奇心」はほとんど重視されていない現実があるようだ。
日本の高校生と大学生を対象に「なりたい人物像」を聞いたところ、「好奇心旺盛な」を選んだのは全体の5.6%で、20個の選択肢のうち最下位。上位には「社交的な」(28.7%)「親しみやすい」(24.7%)「優しい」(19.2%)「思いやりのある」(19.0%)「頼もしい」(17.8%)など、対人関係においてプラスとなる要素が並ぶ(この傾向は顕著で、上位10位以内の内、対人スキルと比較的関係が薄いと思われるのは10位の「独創的な」(11.1%)のみ。「勤勉な」(8.9%)「意欲的な」(7.2%)「まじめな」(5.9%)など、個人で能力に磨きをかける要素となるものは軒並み下位となった)。
なぜ親子の間でこれほど「好奇心」に対する意識の差があるのか。これは、「親が理想とする好奇心の対象、子どもが抱く好奇心の対象」のアンケートにヒントがあるかもしれない。親に「理想とする子ども好奇心の対象」を聞いたところ、上がったのは順に「自然」「語学」「経済」「環境」「スポーツ」。対して子どもたちが「好奇心の対象」として答えたのは順に「アニメ・マンガ」「音楽」「インターネット」「ゲーム」「ファッション」だった。
親が「うちの子どもには好奇心がない」と感じていても、子ども自身は「自分は好奇心旺盛」と思っているのかもしれない。
ちなみに、「子どもに好奇心を持たせる環境が整っていると思うか」については、小学生から高校生にかけて、子どもの成長につれ「好奇心を持たせる環境が整っていない」と答える率が増える傾向があった。高校生の親に「子どもに好奇心を持たせる環境が『整っていない理由』」を聞いたところ(複数回答)、一番多かったのは「学校教育が好奇心を起こさせるような内容でない」だった。
本来であれば成長するにつれて自分独自の趣味思考が確立されていくべきところ。親が「学校教育で好奇心を」と求める横で、子どもは学校以外の場所で「好奇心」を満たしているのかもしれない。
※アンケートの有効回答数は(親)日本2000サンプル、中国・韓国各300サンプル、(子ども)日本のみ1000サンプル。
(プレスラボ 小川たまか)