ジョーンズは現役時代、オーストラリア代表には選ばれなかったが、トップレベルで活躍した。ポジションはフッカー。身長173センチ、体重82キロと大男が揃うオーストラリアでは小柄だったが、それでも第一線でプレーできたのは、体格を補うスキルと緻密な戦術眼があったからだろう。

 また、ジョーンズの母親は日系アメリカ人2世で妻は日本人。指導者のキャリアをスタートさせたのも日本(東海大学コーチ)で、日本人の特性やメンタリティを知り抜いている。加えて世界の頂点の戦いも熟知しているわけだ。こうしたベースがあって、これまでの日本ラグビーの弱点を着実に改善していった。

 エディー・ジョーンズが率いる日本代表ということで今W杯に出場するチームは「エディー・ジャパン」と呼ばれる。エディー・ジャパンはこれまでの日本代表とどのような点が異なるのか。

心・技・体
すべての面を底上げ

 まず代表の選考は過去の実績にとらわれず、多くの候補選手を招集して競争をさせ、各ポジションに最も適したスキル、メンタルを持つ選手を選んだ。日本選手が強豪国にかなわないのはフィジカル面といわれてきたが、ウエイトトレーニングや走り込みを徹底して行い、フィジカルも負けないレベルに引き上げた。スクラムも低く組んで押し負けないようにするなど、さまざまな点でスキルアップを図ってきた。

 同時にメンタル面の強化も行われた。アウェーでの試合を多く組んだのもそのひとつ。また、多くの日本選手が南半球で行われているスーパーラグビーに挑戦。世界トップレベルの練習や試合を肌で知ることで精神的にも強くなったといわれる。

 エディー・ジャパンにも外国人選手は数多くいる。だが、これまでの日本代表のようにフィジカルやスキルを外国人に補ってもらおうという方向性はジョーンズにはない。多くのスポーツはその国の国籍を持つ選手しか代表になれない国籍主義をとっているが、ラグビーはその国のラグビー協会に選手登録をした後、継続して3年以上居住すれば代表になれる協会主義を採用している。だから、外国人選手は何人でも日本代表としてプレーできるのだが、ジョーンズが外国人選手に求めたのは体格やスキルだけでなく、ハートを持っているかどうかだ。

 たとえば、キャプテンを務めるリーチ・マイケル(フランカー)。ニュージーランド出身で高校(札幌山の手高)から日本でプレーし、20歳で代表入りした。そのままでも代表でプレーできたのだが、W杯で日本代表として戦うからにはと、2年前日本国籍を取得した。他にも日本国籍を取った外国人選手は多く(トンガ出身のホラニ龍コリニアシ、ニュージーランド出身のトンプソン・ルーク、ツイ・ヘンドリックなど)、気持ちの面からもひとつにまとまろうという意識があるのだ。