「パートタイム大国」になった
オランダに見る女性の働き方

 働ける時間は短くても、やりがいと責任のある仕事を任されてバリバリ働く。そんな仕組みを定着させて、女性労働力の活用に成功したのがオランダだ。夫婦がともにフルタイムで働く北欧スタイルとは異なり、女性は主にパートタイムであるのが特徴で、日本の労働市場との親和性も高い先行例として、見習うべき点が多い。

 男は正社員、女は専業主婦――。じつはオランダも、出発点は高度成長期の日本と同じだった。

 オランダはパートタイム大国として名高い。パートタイム就労者(週30時間未満)の比率はOECD諸国平均値では16.8%(2013年)だが、オランダでは38.7%であり、働く女性の6割強(男性は19.3%)がパートという現状だ。

 パートといっても、日本と違って非正規雇用ではない。1996年の「労働時間差別禁止法」や2000年の「労働時間調整法」により、ライフスタイルに応じた労働時間で待遇差別なく働けることが法制化された。この「同一労働・同一賃金」の原則はEC諸国に共通するものであり、この点で日本ははるかに立ち遅れている。

 ちなみにオランダの共稼ぎ世帯で非常にに多いのが、「1.5稼ぎ」と呼ばれる、夫がフルタイムで妻がパートの組み合わせだ。中谷文美著『オランダ流ワーク・ライフ・バランス』(2015年)で紹介されている家族の中にも、大手銀行のIT部門でマネージャーを務める夫はフルタイムで週4日9時間(以上)の36時間(以上)勤務、美術館勤務の妻はパートタイムで週3日9時間の27時間勤務といった例が多く見られた。

 なぜ、北欧諸国のように妻もフルタイムで働かないのか?そこには伝統的価値観が深く根差している。じつはオランダでも、男は外で働き、女は家を守るという家庭像が長らく当たり前のものとされてきた。学校から帰ると母親が紅茶とクッキーを用意して待っていてくれたという記憶は多くのオランダ人が共有するものだ。家族による支え合いを重視するキリスト教民主主義の社会観が根強くあることから、女性が社会進出を果たしてからも、仕事と家事で半々という働き方が自ずと定着することになった。

「私たちはスウェーデン人ではない」「保育所がタダになったからといって、子どもを預けっぱなしにはしない」というのが、同書で紹介されているオランダ人の生の声だ。だから妻の多くは大学職員、研究所員といった高度な専門職に就いていても出勤日を週3~4日にして子どもの世話をしているし、夫も前述の銀行員のように、週3日を休日にして子育てを分担している人が多い。

 こうしたオランダの「1.5稼ぎ」スタイルは、パートタイムの妻をユニクロやモロゾフの「短時間正社員」に置き換えれば、我々日本人のモデルケースたり得る。ただし、ここで忘れてはならないのは、週3日や4日というオランダ人の働き方がじつは相当な激務であることだ。前述の銀行員の夫などは休日を確保するために1日12時間以上働いているし、パートの妻にも仕事の電話やメールには休みの日にも対応していたり、仕事を持ち帰ってサービス残業したりという例が少なくない。