社内プレゼンはビジネスパーソン必須のスキル。ところが、多くの人が苦手ではないでしょうか?何度も却下されたり、差し戻しにあったり……。そこで、ソフトバンクで孫正義氏から「一発OK」を何度も勝ち取った著者が、秘伝のノウハウを詰め込んだ『社内プレゼンの資料作成術』を発刊。大きな反響を呼んでいます。この連載では、本書から、シンプルな資料で100%の説得力を生む、「超」実践的なノウハウをピックアップしてお伝えします。

1枚のスライドで3色まで

 プレゼン資料において、カラーをいかに使うかは大切なポイントです。
 まず第1のポイントは、カラーを使うことによって、重要なメッセージを目立たせることができることです。下図のように黒一色のキーメッセージをカラーにするだけで、「何を伝えたいのか」がわかりやすくなります。カラーを使うことによって、決裁者の注意を喚起することができるわけです。

 この効果を最大化するためには、できるだけ色数を絞ることが重要です。色数が多いと、逆に「何を伝えたいのか」がわかりにくくなってしまうからです。資料をカラフルにすることに意味があるのではなく、伝えたいメッセージを強調することに意味があるのです。

 ですから、カラーの色数は絞って、「ここがポイント!」という部分だけをカラーにするのが基本です。もちろん、色数を増やさざるをえないスライドもありますが、そのような場合でも、できるだけ3色を上限にするようにしてください。

 なお、ペーパー・ベースのプレゼンしか認められず、しかも、カラー印刷が許されない会社もあるかもしれません。その場合には、強調したい部分のフォントサイズを大きくしたり、太くするなど工夫するといいでしょう。

「青」と「赤」を使い分ける

 カラーを使うことには、もうひとつ意味があります。
「売上増」「経費削減」などポジティブなメッセージは「青」、「売上減」「経費増」などネガティブなメッセージは「赤」に統一することで、わかりやすいプレゼンにすることができるのです。
 なぜなら、スライドを見た瞬間に、決裁者に「いい情報なのか?」「悪い情報なのか?」を知らせることができるからです。要するに、「話がはやい」のです。

<シグナル効果>

●ポジティブ・メッセージは「青」

●ネガティブ・メッセージは「赤」

 これは、国際的に通用するルールです。世界中の信号が「青=進め」「赤=止まれ」で統一されているように、「青」は「良好、順調、安全」のシグナルであり、「赤」は「不良、不安、危険」のシグナルとして使われているのです。
ですから、できれば社内や部署内でこのルールに統一するのが望ましいのですが、そうでなかったとしても、「青」と「赤」を使い分ける習慣を身につけておくことをおすすめいたします。

 一点、補足しておきたいことがあります。
「コスト」や「目標数値」など、決してネガティブな意味ではなくても、会社にとって、あるいは意思決定において重要な部分は「赤」を使うようにしてください。これは、「見逃さないでください」と強調するためのカラーリングですが、アラート効果を出すために「赤」を使用するのが適切なのです。

事業フローはグラデーションで示す

 カラーを使ったグラデーションも、非常に効果的です。
 たとえば、提案する事業のフローを示すときには、下図のように第1ステップから順に「青」を濃くするグラデーションを展開することで、事業遂行とともに「望ましい状態」に近づくことを印象付けることができるでしょう。あるいは、業績悪化の原因究明などを「赤」のグラデーションで示すこともあります。

 このように、カラーをうまく使いこなせば、決裁者にとってわかりやすいスライドになるでしょう。

(本稿は、『社内プレゼンの資料作成術』より一部を抜粋・編集したものです)