稲島 でも、下の図を見て下さい。1カ所、矢印がありますね。ここに違いがあります。上の図では炭素(C)に水素(H)がキレイにくっついています。これは水素が「飽和」しているため、これを「飽和脂肪酸」と呼びます。一方、下の図は矢印の部分で炭素同士が二重結合しているため、水素が下側についてませんね。水素が「不飽和」のため、「不飽和脂肪酸」と呼びます。

夏目 聞いたことがありますね。「飽和」とか「不飽和」って水素のつき方によるんですね。

稲島 それぞれに特徴があります。飽和脂肪酸はまっすぐの構造になるため安定していて、分子同士が整列しやすいので常温では固体になりやすい。たとえば動物性の脂肪は、多くが「飽和脂肪酸」で固体です。

夏目 炭素(C)と水素(H)が規則的に並んでいるから、常温程度で固まりやすい、もしくは固まっている、というわけですね。たしかに肉の脂身は固体ですね。で、ラードは熱が加わるから溶ける、と。

稲島 一方、植物性の脂肪は不飽和脂肪酸が多い。二重結合の部分で角度が変わるから整列しにくくて常温では液体です。オリーブオイル、ゴマ油、菜種油などは液体ですね。ちなみに、ちょっと前から流行っているココナツオイルは植物性の油ですが、例外的に飽和脂肪酸が豊富なため固体で見かけることが多いです。

動物性の「飽和脂肪酸」は
摂りすぎると血管内で固まりやすい!?

稲島 そんなわけで、動物性の「飽和脂肪酸」は心筋梗塞の一因とも言われています。

夏目 おっと、飛躍しましたね?

稲島前回お話ししたように、心臓の周りの血管が狭くなったり塞がってしまったりすると、狭心症や心筋梗塞になり、時に死に至ります。そして、常温で固まる飽和脂肪酸は、摂りすぎると血管の中で固まってしまいやすいと考えてもらうと良いかもしれません。実際はそれほど単純ではありませんが、イメージとして考えやすいかと思います。でも、自然の飽和脂肪酸であれば、まだ、私はおいしければ食べます。

 一方、不飽和脂肪酸だからといって、すべて安全かというと、そうではありません。不飽和脂肪酸でも人工物になってくると、ちょっと問題があるものが出てきます。その代表が「マーガリン」です。ちょっと前に話題になりましたね。

夏目 ええ、体に悪いとかどうとか、ニュースになっていましたよね。

稲島 マーガリンは人類に貢献してきた食品だと思います。バターに比べコストが安いし、溶けやすくて使いやすい。そもそもバターなど飽和脂肪酸の摂りすぎを避けるために推奨されてきました。でも10年くらい前から害が指摘されています。