アナーキーで前衛的な
ハロウィンという狂騒

自意識過剰な人にとって、ハロウィンは“面倒いイベント”なのである

 世の中には2種類の人間がいる。仮装できる人間と、仮装できない人間だ。

 今年も、あの狂騒がやってくる。西洋から舶来したあの祭り、そうハロウィンである。

 マクロミルの調査によると、ハロウィンに「興味がある」と答えた人は65%。女性に限ると75%が「興味がある」と回答している。ブームを牽引しているのは、若い女性たちだ。

 日本では1997年から東京ディズニーランドでハロウィンのイベントが開催されるようになり、同じ年に川崎市でもハロウィンパレードがスタートした。ここ20年ほどの間で、急速に日本に浸透した祭りだと言えよう。

 ハロウィンと言えば「Trick or Treat?」と子どもがお菓子をねだる祭りとして知られているが、なぜか日本では大人が思い思いの仮装をしてドンチャン騒ぎするイベントとなっている。ハロウィンにちなんだものだけではなく、アニメキャラクターなど日本風にアレンジした仮装をする人も多い。渋谷駅周辺では、仮装をした集団が押し寄せて大混乱が発生し、お巡りさんたちがアニメキャラを警戒するというシュールな光景が毎年広がっている。

 昨年はブレークしたお笑いコンビ「日本エレキテル連合」のコスプレ集団まで登場した。「いいじゃないの?」と言われても、ちっともよくない。ハロウィンとまったく関係ないではないか。しかも最近では「ハロウィン・イブ」なるものまで存在するらしい。ハロウィン自体がキリスト教の万聖節の“前夜祭”なのだから、なんのこっちゃである。

 ブームが広がる一方で、筆者のようにいまいち乗り切れない読者もいることだろう。実際に筆者は、一度もハロウィンパーティーに参加したことがない“ハロウィン童貞”である。参加してみれば楽しいのかもしれない。しかし、どうしても乗り切れないのだ。

 そんなことを話していると、ある女性から「意味なんて考えちゃダメだよ。ただ楽しいからやるの。一度でいいから仮装してみなよ。絶対にハマるから」とアドバイスされた。

 なるほど。非常にアナーキーな発想だ。「意味もないのに仮装して楽しむ」といった危険思想を持った連中を、公権力が放っておくわけがない。警察が警戒するのもうなずける。